北極の風を使い、自宅の照明をつけることができるだろうか。大連市で開催中の2017年夏季ダボス会議において、エネルギー専門家はクリーン電力の効果的な輸送と利用をめぐり、スーパーグリッドと分散型応用シーンという2つの道を示し、白熱した議論を展開した。
伝統的な化石エネルギーモデルならば、エネルギーが不足している中国南方は、北方の石炭を運び燃焼することができる。しかしこれには二酸化炭素の排出が伴う。エネルギー専門家の高翔氏は「クリーンエネルギーは環境汚染問題を解消するが、自然資源の分布が不均衡という問題がある。例えば北極は風力エネルギーが豊富だが、現地では電力の需要がほぼゼロだ。北アフリカ、中東地域は太陽エネルギーが豊富だが、開発と需要がいずれも不足している」と指摘した。
中国は「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)で、世界エネルギーネットワーク計画の構築を提唱しており、今年のダボス会議で再び注目を集めた。グローバル・エネルギー・インターコネクション発展協力機構(GEIDCO)の王益民事務総長は「世界エネルギーネットワークは、スマートグリッド+超高圧グリッドを採用し、各国・各地のエネルギーを結び、電力を共同開発・輸送・使用する場になる」と説明した。
ダボス会議に出席した一部の専門家は「このようなスーパーグリッドがあれば、将来的には北極の風力発電を南に輸送し、北アフリカ・西アジアの太陽光発電を欧州・南アジアに届けることが可能になる」と話した。
「上から下へ」世界エネルギーネットワークを構築する。これはクリーン電力輸送の難題を解消する、系統的なプランだ。しかし一部の来賓は、同プロジェクトの建設資金として50兆ドルが必要であり、世界各国の協力が必要だとした。このコストにより、現時点では遠い先の目標となっている。
アモイ大学中国エネルギー政策研究院の林伯強院長は「下から上へ新エネの分散型応用を推進するのは、即効性の高い良いアイデアだ。分散型エネルギーは通常ユーザーの末端に位置し、独立運行、電力網との接続が可能だ。欧米などの多くの国で、クリーン電力の自家発電・自家用が実現されている。余った電力は売り出すこともできる」と述べた。
今年の会議では、米スタンフォード大学の新技術が、多くの専門家から注目を集めた。同技術は建築物の壁に電気回路を作り、これに塗料をコーティングすることで、太陽光発電が可能だ。江蘇省の電力サービス企業の責任者は「同技術は建築物表面の余った資源を活用しており、分散型発電がより簡単になる」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年6月28日