世界で使われている電子機器は、中国企業が生産している場合がほとんどだ。中国は今、その内部のICチップをも自国で生産しようとしている。半導体部品の製造は携帯電話を組み立てるよりもはるかに難しいが、これまでの経験から言えば、中国に業界を転覆する能力がないと思ったら間違いだろう。米メディアが報じた。
米コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーによれば、中国は今後10年で最大1080億米ドルを国内の半導体関連業界に投入する予定だ。米調査会社ガートナーによれば、世界のICチップの半分は中国で作られる輸出向け電子製品に使用されている。だが中国国内で作られる半導体は、世界のICチップ生産量の10%未満だという。米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。
報道によると、中国は国内に独自のICチップ・サプライチェーンを確立することを国家の重点プロジェクトとしており、国内のICチップメーカーに巨額の資金を投じている。その一例として国有の紫光集団有限公司は3月に、国有銀行と政府系ファンドから220億米ドルを調達した。国際半導体製造装置材料協会(SEMI)によれば、中国では現在少なくとも20のICチップ工場が建設中だ。
巨額の資金が投じられているとはいえ、中国製のICチップが市場に出回るのは少なくとも数年先のことになる。また、出回り始めたとしても、技術力で中国が業界のトップメーカーに追いつくのはまだ難しいかもしれない。中国政府はICチップの製造とメモリーチップの分野に力を入れているものの、この分野をリードする韓国のサムスン電子や台湾積体電路製造(TSMC)には大きく後れを取っている。サムスンもTSMCもリードを保つため、数十億ドル規模の投資を続けている。両社は技術面での強みを活かし、コスト面で優位に立つこともできる。