米金融情報サービス大手のブルームバーグは17日、人民元相場は今年に入ってから6%上昇、元安圧力が弱まったことで、中国当局は資本流出規制の緩和に動いていると報じた。人民元の先高観が強まれば、中国経済にどのような影響がもたらされるであろうか。同紙は今後の見通しについて次のように伝えた。
■輸出
米ゴールドマン・サックス・グループ香港在勤エコノミストで中国経済に詳しい鄧敏強氏は、「人民元が長期的に上昇すれば、経済成長を押し上げてきた輸出に影響を及ぼしかねないとの懸念が当局者の間で広がっている」と指摘。輸出の拡大は今年に入ってから中国の国内総生産(GDP)成長率に1パーセント寄与してきたとも述べた。
■資本規制
スタンダード・チャータード銀行中華圏エリア担当の香港在勤チーフエコノミスト丁爽氏は、元高は資本規制を緩める機会を提供したと指摘。企業による海外への資金移動の難度を引き下げるほか、国内企業による海外買収規制を緩和するといった措置が講じられる可能性があるとの見方を示した。中国は昨年、資本流出を規制する措置を強化し、元安圧力の回避に努めた。人民元は昨年、対ドルで6.5%下落し、1994年以来最大の下げ幅を記録した。