アジア開発銀行(ADB)はフィリピンの首都マニラで26日、「アジア経済見通し2017年(Asia Development Outlook 2017)」の改訂版を発表した。改訂版は、2017年と2018年の中国のGDP成長率見通しをそれぞれ0.2ポイント引き上げ、6.7%と6.4%に上方修正した。また、中国の予想を上回る経済成長がアジア全体の経済成長見通しを押し上げたとの認識を示した。
改訂版が中国の経済成長の先行きに強気の見方を示したことについて、ADBマクロ経済研究部のJoseph Zveglic主任は、「中国経済が17年上半期に力強く成長したこと、良好な国内環境、有利な国際環境、この3つが主因だ」と指摘した。
Zveglic氏は、「17年上半期の中国GDP成長率が6.9%と予想を上回ったことが、ADBが中国経済の先行きに強気の見方を示した要因の1つだ」と述べた。
改訂版によると、2015年から2017年上半期にかけて、積極的な財政政策を背景に中国の国内投資は力強く伸びた。また、国民所得の増加と消費マインドの改善に伴い、消費が経済成長をけん引する主な原動力となった。Zveglic氏はこれについて、「中国で日増しに成長する投資と内需が経済の持続的成長を支える見通しで、消費は今後も中国の経済成長に大きく寄与する」との見方を示した。
世界の経済成長がより安定的で持続可能となるなか、米国、ユーロ圏、日本の経済はいずれも成長を維持している。主な工業国の経済回復を背景に、グローバル貿易も回復している。Zveglic氏は、「海外要因が中国の輸出をけん引し、経済成長を支える」との見通しを示した。