2015年には、中国政府による外貨準備運用の多様化を受け、英国から中国向けに輸出された金は67億英ポンドに上った。通常の貿易では交通運輸産業が中心となっており、英ジャガーランドローバーに代表される自動車産業の中国向け輸出額は38億英ポンドに上った。
サービス業の対中輸出で中心となっているのは観光業で、貿易額は15億英ポンドとサービス業全体の42%を占めた。データによると、2015年に英国を訪れた中国人旅行者数は計27万人、1日あたり740人に上ったほか、英国に留学した中国人学生数は9.1万人と、英国の外国人留学生全体の20%以上を占めた。
中でも注目すべきは、デジタル経済の勃興による両国の国境を越えた金融サービス貿易の進展だ。英国の多くの金融機関が中国支店を通じて業務を展開しており、金融サービス業の対中輸出額は9.71億英ポンドに上った。
報告書は、中英二国間貿易の先行き見通しについて、両国とも足元で経済モデルの転換が進んでいると指摘。英国はEU離脱後に貿易投資の枠組みを再構築する見通しであり、中国経済にとって新たな原動力の核となるのは「一帯一路」の建設、ハイテク産業、サービス業、国内の内需型産業だとした上で、こうしたことにより両国の技術、金融、教育分野における協力関係は一段と強まっていくだろうとの見方を示した。