2017年の中央経済活動会議では、「来年も積極的な財政政策の方向性は変わらない」との方針が示された。財政支出の構造調整・改善を進め、重点分野・プロジェクトへの支援を確実に実施、一般行政経費を引き締め、地方政府の債務管理を強化する。これは中国の財政赤字が一段と拡大することを意味するのだろうか?積極的な財政政策はどのような面に注力するのだろうか?
専門家は、来年の積極的な財政政策は次の5つの側面から重点的に取り組むとみている。(1)財政支出の構造改善、支出の強化、国民の基本的生活向け支出の重点保障。(2)実体経済コストの引き下げ強化、企業関連の費用徴収制度の見直し、関税による調整作用の発揮。(3)地方政府の債務管理強化、地方政府の債務リスク防止。(4)財政資金を呼び水とした官民連携(PPP)モデルの発展と各種投資導入基金発展の促進、イノベーションの促進。(5)構造調整の強力な推進、省エネ排出削減と環境保護の強化、大気汚染防止対策の実施。
中国社会科学院学部委員で経済研究所の所長を務める高培勇氏は、21日の「国是論壇2017年次総会」で、「新時代の積極的財政政策の方向性に変わりはないという言葉には含みがあり、その意味は既に大きく変わっている。この変化は今年始まったものではなく、過去5年ですでに起こっている変化だ」と指摘した。
高培勇氏は、その変化は主に3つの側面に表れていると語る。第1は、これまで単に需要拡大にのみ注力してきた政策と異なり、現在は供給サイドを一段と重視している。第2は、投資分野で起きた変化だ。第3は、財政赤字だ。これまでは需要のけん引に向け、赤字拡大をいとわなかったが、現在の政策は金融リスクの防止と解消を要求しており、これは財政赤字の警戒ラインとされる3%を突破する可能性がないことを意味する。