海外メディアによると、中国が自主開発するスーパーコンピューター「神威太湖之光」が2017年の世界ハイパフォーマンスコンピューティング大会で再び世界一となった。
いうまでもなく速度はスパコン性能の一部に過ぎない。中国はスパコンの大脳といえるCPU技術でアメリカより遅れてきた。中国のスパコンは依然としてアメリカ製のCPUを使用している。アメリカのインテルとNVIDIAは、世界のスパコン上位500機のCPUに使用されている。つまりアメリカ政府は他の国に対し、戦略的にスパコンの発展を制限することが可能な状態にある。
2015年、アメリカは多くの国内企業に対し、中国向けのCPU販売を禁止した。これを使って中国が核兵器を開発するのを恐れたのだ。しかし目論見と異なり、これが中国の科学技術の発展を加速させることになった。その後数年のうちに中国は「神威」を開発。独自のCPUを使用した。これは中国で最初となる自主開発による世界的性能を持った最速のスパコンとなった。
清華大学のコンピューター学科のポストドクターである甘霖氏は、「中国のスパコンの計算能力は、この10年で驚異的に発展した」と話す。同氏の仕事は“太湖之光”の各種アプリケーション開発で、“神威”の名付け親でもある。同氏は「スパコンの演算性能は最大時で毎秒10京回だ。つまりこのスパコンの1分間の計算能力は、世界72億人が同時に電卓を使って32年間計算し続けるのに相当する」と述べる。
スパコンは国防や科学技術研究に大きな影響を与える。しかし現在、企業もまたスパコンに頼るようになってきている。スパコンは武器開発や自動車デザイン、飛行機開発、新薬開発、天気予測、地震分析、石油発掘などの複雑な計算に欠かせないものとなっているのだ。
中国は演算が最も速いスパコンを持つだけではない。最近発表された世界スパコンランキング(上位500位)のうち、中国のそれが40%を占めている。一方、アメリカは3割に満たない。“神威太湖之光”などスパコンは、異なる業界でもよい影響をもたらしている。たとえば風力発電所を作りたい企業がいたとして、彼らは風力が最大の地点を知りたいと考える。甘霖氏は、「風力最大地点を計算するのは、これまで3カ月を必要とした。しかし神威なら1週間で十分だ」と述べる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年12月30日