中国国際経済交流センター副研究員の張煥波氏は「欧州各国の中央銀行は現在、人民元への注目を強めている。特に人民元が国際通貨基金(IMF)のSDR(特別引出権)バスケットに採用されると、欧州各国の人民元投資の意向が目に見えて強まっている。また中国と欧州の経済交流の活発化などの現実的な要素を考えると、欧州のその他の国も将来的にこの流れに追随する可能性がある」と分析した。
国際的な地位が向上
世界的に見ると、人民元は各国の外貨準備の新たな「寵児」になろうとしている。IMFは2017年3月31日に、初めて世界人民元外貨準備保有状況を発表した。最新データによると、昨年9月末現在の人民元が世界の外貨準備に占める比率は1.12%で、上昇を維持している。またシンガポール、フィリピン、ロシア、アルゼンチンなど60以上の国と地域が人民元と外貨準備に組み入れている。5年前であれば、この数字はほぼゼロだった。
張氏は「人民元を外貨準備に組み入れる中央銀行と金融当局が増えているが、これは市場の需要を反映している。これまで長年に渡り、世界各国の中央銀行が保有する外貨準備の大半がドルだったが、近年はドルの変化が激しくなっている。この一つのバスケットに卵を入れるようなやり方は、国際市場の安定に不利だ。人民元の準備通貨としての地位が徐々に認められており、各国の中央銀行にとって信頼性の高い新しい選択肢となっている」と指摘した。
仏フィガロ紙は、人民元の世界の外貨準備における地位の向上は、他国にとっても利益になると報じた。中国はドルへの依存を断ち切り、貿易の両替手数料とリスクを削減すると同時に投資を導入し、「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)プロジェクトに資金を提供できる。他国を見ると、その中央銀行は人民元を外貨準備に組み入れることで、確かな通貨に投資できるようになる。その投資収益率は、ドルよりも魅力的だ。これはまた外貨準備の多元化の手段であり、中国と協力する積極的な姿勢を反映している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年1月22日