中国と米国の貿易摩擦は、高等教育分野にまで飛び火しそうだ。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米国政府は対中貿易赤字への対抗策として、中国人留学生へのビザ発給の制限を検討している。しかし米政府の措置は、米国の一大黒字プロジェクトである高等教育に悪影響を及ぼす可能性がある。米政治系ニュースサイト・リティコは先ほど、ビザの規制により中国人学生(特に科学技術面の院生)の米国留学に影響が生じると伝えた。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、外国人留学生が米国に学費を納めていることで、米国の学校は「世界で最も成功した輸出産業」になっている。この成功はある程度、中国のおかげと言える。統計データによると、2016−17年に米国の大学で学んだ外国人留学生110万人のうち、中国人が約3分の1を占めた。
復旦大学米国研究センターの宋国友副主任は18日、環球時報のインタビューに応じた際に「教育産業は米国が貿易バランスを整えるための重要な収入になっている。米国側がビザ発給を規制すれば、中国人留学生の数と消費額が減少する。これにより米国の高等教育における収入が減少する」と指摘した。
このような状況が想定されながら、米国はなぜこのような措置を講じようとしているのだろうか。宋氏は「米政府は米国が敏感とする理系か、米国の対中ハイテク競争力を損ねる専攻を規制する可能性がある。この分野の収入が減るとしても、中国に強いシグナルを発することができるほか、米国の科学技術及び教育分野における保護主義の効果を発揮することができる」と分析した。
国際教育交流を推進する非営利団体のNAFSAの発表によると、外国人留学生は米国の45万以上の雇用枠を支えている。中国人留学生のビザ発給を規制すれば、「米国を偉大に」することはなく、かつ高等教育部門に「壊滅的な影響」を生む可能性があるという。このほど発表されたデータによると、昨年の外国人留学生に対するビザ発給は前年比で7万8000人減少しており、うち中国とインドの下げ幅が最大となっている。
国際教育協会の統計データによると、一部の外国人留学生は学校の准教授になることで連邦奨学金を獲得できるが、留学生の約6割は教育費を全額負担している。米カリフォルニア大学サンタバーバラ校の経済学教授は、ウォール・ストリート・ジャーナルに対して「外国人留学生は通常、学費を全額負担する。これは米国の学生が公立大学に支払う学費の2−3倍だ。米国の大学が収入を失えば、米国人学生の学費を上げることで損失を補おうとするだろう。留学生のビザ発給を減らせば、米国人の学生が不利益を被るかもしれない」と話した。
NAFSAは「中国人学生と学者は米国の科学・革新に多大な貢献を成し遂げている。中国人学生のビザが規制を受ければ、米国のほぼすべてのコミュニティが影響を受ける」と称した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年3月25日