米国が中国製品に500億米ドルの追加関税を課し、中国が30億米ドルに上る100種余りの米国製品に追加関税を課し、米国が中国からの輸入製品1000億米ドルに追加関税を課し、中国が米国産の大豆、自動車、化学工業製品など14種106品目に25%の追加関税を課す。
世界の2大経済国間の貿易摩擦が徐々にエスカレートするのをみて、日本銀行(中央銀行)前総裁の白川方明氏は同じような場面を思い出した。日本銀行に入行した白川氏は1970年代から80年代に、日本と米国の「貿易戦争」を自ら体験し、それによってもらたされた日米貿易政策と通貨政策の変化を目撃している。
白川氏は現在の中米貿易摩擦が当時の状況と似ていると感じているが、中国が直面している問題はより複雑だ。
1980年代に、米国と欧州諸国の圧力を受けた日本政府は、金融政策を緩和し、経済刺激措置を打ち出し、中央銀行は金利を引き下げた。1985年に米国、日本、ドイツ、フランス、英国の財務相と中央銀行総裁は米ニューヨークで「プラザ合意」を結び、日本円とドイツマルクは大幅に上昇する一方、米ドルは大幅に下落した。その後、この5カ国は外為市場に共同介入し、米ドルを売り、大幅な円高へと導いた。