中国工程院院士の袁隆平氏が率いる青島海水稲研究開発センターのチームがこのほど、ドバイの熱帯砂漠で試験的に栽培した稲の生産量を測定したところ、1ムーあたりで最高500キロ以上に達した。熱帯砂漠における世界初の試験的な稲作が成功し、砂漠地帯の食糧自給力向上、世界の食料安全保障、砂漠地帯の生態環境改善に「中国の貢献」を成し遂げた。
同センター副主任の張国棟氏によると、同センターはドバイ民間投資事務局の招待と委託を受け、現地の熱帯砂漠で稲の試験栽培を実施した。今年1月には数十種のハイブリッド稲を選び、ドバイ近郊の砂漠で小範囲栽培を行い、その耐乾性・耐アルカリ性・耐倒伏性などの試験を行った。
5カ月の成長を経て、第1陣となる稲が成熟に近づいた。同センターは5月26日、インド、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)などの専門家を集め、生産量の測定を行った。うち1種の稲の生産量が1ムーあたり500キロを超え、2種が400キロを超えた。
中国の海水稲技術、砂漠の稲作を成功に導く
同センターは海水稲研究開発の成果「四次元改良技術」をドバイに導入した。そのうち 要素IoTモジュールは最も重要な中核技術で、各種センサーを搭載した2本のパイプからなる。1本目はセンサーからの情報に基づき、必要な水と肥料を自動的に稲の根に届ける。2本目は土壌中の余った水と肥料を回収し、回収プールに戻し1本目のパイプによって循環利用する。他にも要素IoTモジュールは地表にスマート噴射かんがいシステムを持つ。肥料が必要な場所、土壌環境、養分濃度などの状況は時期によって異なるが、シャワーとホースを正確に制御し一定量の水分と養分を撒くことができる。
世界食糧安全に「中国の貢献」
同センター執行主任の劉佳音氏によると、同センターは今年下半期にドバイ民間投資事務局と100ヘクタールの実験農場のプロジェクトを始動する。より広い範囲で生産コストや栽培技術の安定性を検証し、砂漠地帯の稲作普及技術標準を形成する。
双方は2019年に100ヘクタールの標準農場の建設を開始し、2020年より複製を開始し栽培面積を拡大し、「人工オアシス」を増やす。
情報によると、ドバイ民間投資事務局は同センターと、資本・技術・土地を通じ協力を展開する。UAEの10%以上の国土面積の網羅を目標とし、10平方キロメートルの「人工オアシス」を単位とし、「グリーンなドバイ」と「エコロジーなドバイ」を作る。UAEの食糧自給力と食糧安全を強化し、現地の生態環境を効果的に改善する。
また双方は中東・北アフリカ海水稲共同研究開発・普及センターの共同建設の枠組み協定に署名した。「人工オアシス」をアラブ世界全体に普及させ、砂漠地帯の生態状況を改善し、貧困や自然環境が過酷な地域の飢餓を解消する。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年5月31日