今年のW杯で中国ブランドの広告が激増し、前回・前々回の1社から一挙に7社に増加した。多くの人は画面に映る漢字にやや慣れていないようだ。英エコノミスト誌はより「不快」なようで、中国のスポンサーが激増したことについて、「多くの西側企業がW杯への支持を取り下げたため」と嫉妬混じりに結論づけた。
エコノミストの分析には、説得力があるように見える。まずFIFAの汚職、マネーロンダリング、詐欺などのスキャンダルが発覚し、多くの西側企業は自社のイメージ低下を懸念している。次に今年のW杯はロシアで開催されているが、ロシアは西側の制裁の対象だ。エコノミストは、本大会がその他の欧州諸国で開催されていれば、スポンサー不足という苦しい局面には陥らなかっただろうとしている。
しかしこれはコカ・コーラ、マクドナルド、バドワイザー、アディダスのような米国・ドイツ企業が依然として、スタジアムの最も目立つ場所の大半を占めている説明にはなっていない。「ポリティカル・コレクトネス」により支持を取り下げたと疑われている企業の一部にとって、W杯はもはやブランドの影響力を拡大するため必要ではなくなっている。他にも業績悪化によりスポンサー料を出せない企業もある。
最近のW杯では、多くの中国企業がFIFAとの接触を試みスポンサーになろうとしていたが、余りにも厳しい要求を突きつけられたため見送っていた。そのうち重要な原因は、FIFAが古くからのスポンサーの権益を守らなければならず、新たに進出する企業に対して高いハードルを設定していることだ。古くからのスポンサーがいる業界であればなおさらそうだ。一部の西側企業の欠席により、W杯決勝戦で存在感を示したかった中国企業は千載一遇のチャンスを手にした。彼らは幸運にも後を継ぎ、交渉でより多くの権益を手にした。
海信(ハイセンス)を例とすると、同業のスポンサーであるソニーが退いたためチャンスが生まれた。ソニーが撤退した理由については、近年の市場における業績を見れば分かることだ。海信がW杯の競技場に姿を見せるのは、当然の結果だ。国内で長年に渡りテレビ生産シェアナンバーワンを維持してきた海信は現在、海外に18の子会社と13の生産拠点を設立しており、生産も販売も真のグローバル化を実現している。これは1980年代に日本の家電メーカーが世界の重要なスポーツ大会の競技場に勢揃いした原因・論理と完全に一致している。海信はこれまでもUEFA欧州選手権のスポンサーになっており、トップレベルのサッカー大会を通じブランドを樹立し、販売を拡大する経験を手にしている。UEFA欧州選手権は海信ブランドに喜ばしい影響力と、海外市場での売上をもたらした。今回のロシアW杯も同じく、海信にサプライズをもたらしている。海信が発表した公式情報によると、ブランドの影響力を引き続き拡大したばかりか、直近のわずか1カ月だけでもロシアでの売上が300%増加した。チェコ、メキシコ、アルゼンチンなどの国でも倍増した。
海信やvivoのような世界での生産と販売を実現している中国企業の他に、万達や蒙牛など主要事業を中国に置くスポンサーも議論の対象になっている。しかしこれは不思議な事ではない。中国には巨大な市場があり、W杯のスポンサーになったこれらの企業を支えることができる。
わざわざ損をしようとする人はいない。中国ブランドと海外ブランドがトップクラスの競技場に姿を現しているが、同じ商業の法則を守っている。エコノミストのような理性的であるはずの専門誌が、この問題で低級なダブルスタンダードを設けるとは興ざめだ(筆者・劉戈 CCTV財政・経済チャンネルのコメンテーター)。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年6月26日