時速1220キロとはどのような概念なのだろうか。列車が真空「カプセル」チューブ内を飛び、1時間で北京から上海に、30分でロサンゼルスからサンフランシスコに移動するのを想像してみるといいだろう。
米Hyperloop Transportation Technologies社(HTT)は19日、貴州省銅仁市政府と協定に署名した。双方は中国で初のスーパー高速鉄道を建設する可能性を検討する。
スーパー高速鉄道が人々の注目するスタープロジェクトになっているのは、ハイテクの狂人と呼ばれるイーロン・マスク氏のおかげだ。マスク氏は2013年に57ページものスーパー高速鉄道白書を発表した。Jumpstart Fundは2週間後、同白書をウェブサイトで公開できると判断した。これは直ちに多くの注目を集めた。
HTTのBibop Gresta会長は、第一財経のインタビューに応じた際に「この計画書は整ったものではないが、火花のように多くの人の熱意に火をつけた。各国の多くの科学者が参与しようとしている」と話した。同氏はJumpstart Fundの創業パートナーだ。Jumpstart Fundは現在、HTTの筆頭株主となっている。
HTTのDirk Ahlborn CEOはシンガポールで、第一財経の独占インタビューに応じた際に「当社は銅仁旅行投資集団と合弁会社を設立する。政府・民間協力の方式により、双方の出資比率を50%とする。まず貴州省銅仁市で全長約10メートルの試験鉄道を作る。具体的な建設先についてはこれから決める」と述べた。
同氏は「中国は当社が最も進出したかった市場だ。HTTにも中国資本が含まれる。これは中国初の商業スーパー高速鉄道プロジェクトとなり、銅仁の観光交通を促進する」と話した。
しかし同氏は「同プロジェクトはまだフィジビリティスタディの段階であり、6カ月ほどでその報告書を発表し、その後さらに着工となる」と強調した。「中国の速度は世界のどの国よりも速いが、銅仁現地の地形が当社のその他の都市におけるプロジェクトと大きく異なっていることを考えると、これは非常に良好な試練に挑むチャンスと言える」
HTTは画期的な交通ツールにより、人々の移動手段を変えようとしている。HTTの技術の原理はこうだ。カプセル型の車両を低圧チューブ内で浮かせ、チューブ内の気圧を大幅に引き下げ、受動的浮上とリニア誘導モーターを通じ、車両をほぼ摩擦ゼロで高速走行させる。
Ahlborn氏は「当社のスーパー高速鉄道技術は、リニア鉄道技術に似ているが、飛行機の技術原理と結びつけている。列車を真空チューブ内で浮上・運行させ、空気抵抗を減らし、最高で時速750マイルを実現する。この時速は大多数の民間航空機を上回る。都市部の渋滞問題を和らげ、かつ都市周辺と市街地の通勤時間を短縮する画期的な意義を持つ」と話した。
銅仁市政府との協力で、HTTは技術チームとエンジニアチームを提供する。銅仁市政府はプロジェクトの認証と監督管理制度の枠組み構築を担当する。Ahlborn氏は「当社の世界その他の都市との協力プロジェクトと同様、中国の建設工事も現地の施工チームが担当するが、当社はプロジェクトの進行管理の専門家を派遣する」と表明した。
同氏はまた「銅仁の10キロの試験プロジェクトが検証されれば、未来のスーパー鉄道は1000キロ以上に延長される可能性がある」と述べた。建設費用については「10キロのコストを3億ドルほどとし、銅仁市政府が1億5000万ドル出資すると見込んでいる」と説明した。
「HTTの技術が実現されれば、建設費と運営費は既存の高速鉄道を大きく下回る。こうすることで初めて、当社のプロジェクトが有意義であることを証明できる」
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年7月23日