米国のトランプ大統領が保護貿易政策を打ち出し、欧州や日本などとの貿易摩擦に対する懸念が高まるなか、トランプ大統領の支持基盤となる米国の農家は肝を冷やしている。
日本の『共同通信社』は8月6日、米国の農家が、築き上げてきた輸出販路が絶たれれば、間違いなく打撃を受けることを心配していると伝えた。彼らは「裏切られた」と感じており、11月の中間選挙向けにトランプ大統領が打ち出した補助120億米ドルにも冷ややかな態度をみせ、「単なるその場しのぎ」と話す。また、追加関税が物価上昇をもたらし、市民生活に影響が及ぶことを心配している。
トランプ当選時に喜ぶも、今は大きな悩みを抱える
「農家の気持ちを全く理解していない。彼に再び投票する人はいないだろう」。広大な大豆とトウモロコシ畑を持つ米中西部ミネソタ州ウエルズの農家4代目、ダーリン・ジョンソンさん(40歳)は苦しみを訴えた。見渡す限りの緑地は全てファミリーの私有地だ。政権を握る共和党の支持基盤とされる農村地区の有権者が割れている。
「長期間をかけて中国企業と築いてきた関係が一瞬にして壊された」。ジョンソン氏の農作物のうち6割が輸出向けで、うち4割の大豆を中国向けに販売し、半分以上のトウモロコシをメキシコに売っている。
農家は元々、北米自由貿易協定(NAFTA)の恩恵を享受し、環太平洋パートナーシップ(TPP)を通じた販路拡大に大きな期待を抱いていたが、トランプ政権はNAFTAの見直しとTPPからの脱退を決定した。「期待とは全く逆になった」と農家は非常に悩んでいる。