農業や製造業、ウィスコンシン州などの州にいたるまで、米国角界は貿易戦による影響を感じ取り、「米国の追加関税は間違っており、自分たちに被害が及ぶ」と認識し始めている。
米国商会の総裁兼CEOのトーマス・ドノヒュー氏は、「米国の世界各地からの輸入品に対する追加関税は多国に反対され、貿易戦は最終的に米国のビジネスと消費者に被害をもたらし、報復目的の関税が積み重なり米国の経済成長を妨げることになる」とする文章を発表した。
貿易戦にも関税戦にも賛成できない。これは全ての人の生活に影響する」。農業から製造業に至るまで、米国角界は追加関税がもたらす影響を感じ取り、多くの人が懸念を示している。
農場で生産した大豆を見せる米イリノイ州大豆協会のエリア主任、豆農家のオスティン・リューク氏
全米を見ても貿易戦を免れる州は1つもない
「客が離れた」と電話で話すクレイグ・ボーマン氏の声から焦りが感じられる。米国政府の関税政策により、新しい顧客を失ったという。
昨年11月、記者はボーマン氏のセイヨウジン農場を取材し、ボーマン氏は海外市場開拓計画について紹介し、建設したばかりの従業員寮を見せてくれた。その誇らしげな表情は印象的だった。ボーマン氏一家はウィスコンシン州ウォーソーでアメリカニンジンを栽培して約45年になる。現在は現地最大のセイヨウニンジン農場を経営し、敷地面積は約500エーカー、年間生産量は約25万ポンド。彼によると、アメリカニンジンを中国に出荷する際は中国人消費者向けにデザインしたパッケージを使用し、QRコードがついている。
ウィスコンシン州のアメリカニンジン生産量は全米の95%を占め、85%がアジア市場に販売され、うち約80%が中国本土と香港地区に販売される。中米貿易戦はウィスコンシン州のアメリカニンジン産業に大きな影響を及ぼした。ボーマン氏は、「追加関税は誰にもメリットがない。関税制作の実施前は輸出が増加し続け、好調だったが、現在、農家は大幅ディスカウントで顧客を繋ぎ止めるしかない。このような割引により、農家は新設備の購入と従業員採用に必要な収入を失った。情勢に失望している」と話した。
アメリカニンジン産業だけでなく、ウィスコンシン州のクランベリー栽培者も「貿易戦は最も望んでいなかったこと」と話す。ウィスコンシン州クランベリー栽培者協会の統計によると、米国がEUに輸出するクランベリーは年間9500万ポンドで、生産量の12%を占める。米国の鉄鋼・アルミ追加徴税への報復として、EUはクランベリーも報復対象商品に入れた。また、ウィスコンシン州の牛乳の90%がチーズ製造用として州外に出荷される。2014年に最高値を記録した牛乳価格は大幅下落し、米国の多くの農場の命運を変えた。メキシコは先日、米国の鉄鋼・アルミ追加徴税への報復として乳製品から25%の関税を徴収すると発表し、同業界はさらなる打撃を受けた。メキシコは米国産乳製品の最大の輸出市場で、メキシコが2017年に購入した米国産乳製品は約4億ドルだった。
「全米を見ても貿易戦を免れる州は1つもない。中西部工業地帯と農業後背地が最も深刻な打撃を受けた」。米国商会の最新研究報告によると、農業や製造業、ウィスコンシン州などの州にいたるまで、米国角界は追加関税による影響を感じ取り、ウィスコンシン州だけで10億ドル規模の輸出業が貿易戦により脆弱し、80万の国際貿易関連の雇用が影響を受け、被害はさらに深刻化するとみられる。
イリノイ州の農場で大豆を積んだトラック
中国市場を失えば、今後何が起きるかわからない
ガリー・ニコルス氏はフロリダ州のケースアイランドで30年以上漁師をしている。彼は、貿易戦勃発の時期は最悪だったと話す。まもなくロブスターのシーズンになり、多くの捕獲装置が船に設置され水中に投入されている。しかし、ロブスターの売れ行きが低下している。9年前にロブスター価格が1ポンド3ドルまで下落したとき、彼は破産寸前に追い込まれたという。その後、中国市場の需要が増加し続け、島の漁業は救われた。彼は、「ここ数年は中国市場に恵まれたが、中国市場を失えば、今後何が起きるかわからない」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年8月12日