▽東来順の「涮局」は小売業態を模索
今年4月、火鍋レストラン「涮局」が北京居然之家の麗沢橋店に第1号店をオープンした。「庶民的で、味もいいし、肉も柔らかい」というのが、利用した王さんの感想だ。この店が老舗しゃぶしゃぶ店「東来順」の普及版だとはまったく気づかなかったという。
東来順が今年打ち出した普及版火鍋ブランド・涮局は、25~35歳の若い消費者をターゲットにし、客単価を60元(約969円)と見込む。ブランドの最高経営責任者(CEO)を務める張継衡さんは、「伝統ある東来順は利用者の年齢では35歳以上が多く、改まった食事やビジネスの宴会に偏るきらいがある。『涮局』は若年化の方向で、カジュアルレストランを目指す」と話す。
涮局は人気向上をはかり、このほど新小売スーパー・盒馬鮮生と連携し始めた。今後は火鍋の加工品を盒馬鮮生チャンネルで販売し、宅配もする予定だ。
▽老舗の今風な事業展開にはリスクも
老舗が今風の普及版ブランドを打ち出すことは、リスクが比較的少ない革新的試みであり、昔からの顧客を失わずに済むと同時に、若い消費者を取り込み、ブランドの文化を次世代に伝えることにもなる。北京市商業企業管理協会の高以道顧問は、「巨大な若者の消費市場はチャンスだ。老舗がチャンスをつかまえられるかどうかが注目される」と話す。
だが激しい競争の中での老舗のこうした動きは、熱意は素晴らしいが、市場に真に認められるのはそれほど容易ではない。
高顧問は、「老舗が普及版ブランドを打ち出すリスクは、若い人たちの消費の注目点と問題点を着実につかまえられるかどうかにかかっている。国有企業の経営における体制上、メカニズム上の制約が、市場化の拡大発展を妨げるということもある」と分析する。食品産業アナリストの朱丹蓬さんも、「老舗は普及版ブランドを打ち出しても、老舗国有企業としての風格や理念を失ってはならない。商品の革新、バージョンアップ、普及推進などで大いに努力しなければならない」との見方を示す。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年8月20日