次にFDIの国別分布状況をみると、バランスよく分散化されてきていることが分かる。2015年以降、中国のFDIは調整期間を経て、資源確保型からグローバル・バリューチェーンの構築と技術導入型へのシフトを進めており、投資先も一つの市場に偏重することなく、発展途上国と先進国の両方に分散させるようになった。
また、FDIの業種別分布をみると、論理的な投資を行うようになったことが分かる。2015年以降、中国のFDIは量的な伸びが鈍化した一方で、投資構造が最適化し、質や収益性の向上がみられるようになった。2018年1〜7月の推移をみると、主にリース業、ビジネス・サービス業、製造業、採鉱業、卸売業、小売業へと軸足が移り、リスクの高い不動産業、スポーツ・エンターテインメント業への新規投資はなかった。
中国国際貿易促進委員会研究院国際貿易研究部の趙萍主任は、「国内外の経済情勢が移り変わるなか、中国の海外投資戦略を改めて見直すことが重要だ」と指摘。均衡ある成長や双方向の開放、市場志向型、利益重視といった点に注視し、FDIの制度面の整備や産業構造の最適化、国際競争力のある中国グローバル企業群の育成に力を入れるべきとの見方を示した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年9月3日