個人旅行人気で翻訳機のニーズ高まる
王さんは学生時代を振り返り、「スマホはまだなく、クラスメイトの多くが電子辞書を使っていた。しかし、スマホが普及してからは、各種翻訳ソフトがダウンロードできるようになった。そのため、スマホが最も便利な翻訳アイテムとなった」と話す。では、多くのテクノロジー企業は今、なぜ翻訳ハードウェアに力を入れるようになったのだろう?
「百度共享Wi-Fi翻訳機」の関係責任者によると、ハードウェアという観点から見ると、スマホは近距離無線通信には適しているものの、周囲が騒がしい環境では、翻訳が必要な音声を認識するのが難しい。一方、翻訳機は、ノイズキャンセリング機能が付いているため、騒音が多い環境下でも翻訳が必要な音声だけを認識できる。その他、スマホの翻訳ソフトは手間がかかり、海外で道を聞こうと思うと、スマホを取り出してソフトを開け、翻訳するまでにおよそ7ステップ必要だ。一方、翻訳機ならボタンを1回押すだけですぐに翻訳してくれる。
「エントリーモデルのカメラは、完全にスマホに取って代わられた。これは7、8年前には想像もつかなかったことだ」と話すツアーガイドの蒋■(■は品の口が金)さんは、今の単体の翻訳機の人気はおそらく一過性のもので、今後はスマホの翻訳アプリがさらにグレードアップすると予測している。
翻訳機の登場は、AI技術の発展と切っても切れない関係にある。近年、機械翻訳技術が成熟し、多くのテクノロジー企業が翻訳技術の商品化を進めている。統計によると、中国国内の十数社がさまざまなタイプの翻訳機を発売している。
現在、ほとんどの翻訳機がターゲットにしているのがアウトバウンドとインバウンド観光市場だ。分音塔科技司(BABEL TECHNOLOGY)のマーケティング担当者・謝燕順さんは、「海外での翻訳というのは、非常に大きな硬直的需要で、今後も安定して成長するだろう。例えば、『準児翻訳機』は発売前に、旅行シーンを深く研究し、旅行関連の名詞や専門用語、関連コーパスなどを長期にわたって調査し、清華AI翻訳技術を採用して、翻訳機の旅行シーンにおける翻訳の精度を向上させた」と説明する。
統計によると、海外旅行に出かける中国人観光客のうち、個人で出かける人の割合が上昇している。ツアー旅行にしても、個人旅行にしても、異国の地で現地の人とコミュニケーションを取るのが最大のボトルネックとなっており、スマート翻訳機のニーズも高まっている。