毎年塗り替えられる「ダブル11」消費の伸び率と取扱高は、中国の内需の力強さをはっきりと証明した。膨大な販売データの背後で、消費の高度化・品質重視の傾向が日増しに顕著になっている。「ダブル11」は開始から10年で、民営経済の市場の活力を表す重要な舞台となった。過去10年、EC(電子商取引)消費の動きと中国経済のモデル転換と高度化・質と効率の向上をめぐる発展は同じ方向に向かって進み、消費は絶え間なく高度化した。
消費の高度化の変化は消費のカテゴリーと理念の変化に直接現れている。京東ビッグデータ研究院のリポートによると、10年前のEC事業者の主な取扱品種は、「3C」すなわちコンピューター・通信・消費関連電子製品に集中していたが、今や全ての衣食住関連産業がECと密接に関わり、その関係は幅広く深く全てのカテゴリーに拡大している。なかでも、食品・美容・アパレルなど質の高い生活と消費の高度化を示す製品の受注量の割合が最も速いペースで伸びており、サービス類の受注も急速に伸びている。ハイエンド製品の受注も急増しており、輸入商品の人気は第1回中国国際輸入博覧会で検証済みだ。「ダブル11」のような大規模なセールスプロモーションでは、消費者の意識は理性的になりつつある。消費者は価格の安さだけにとらわれず、ブランド・品質・サービス・個人的な好みなどを追求する傾向にあり、これらはまさしく消費の高度化を示すものだ。
消費の高度化は大都市から中小の都市や農村に広がりつつある。10年前、ECサービスはほとんどが大都市中心に展開され、中小の都市や農村はそのスピーディーで便利なサービスを享受できなかった。しかし今や、インターネットの普及と全国に広がるECの配送システムのおかげで、益々多くの中小都市や農村在住の顧客がEC消費の新たな担い手となっている。統計によると、中国の農村ネット通販市場規模は拡大の一途をたどり、その恩恵を受けるEC事業者も農村の貧困脱却支援に大きく貢献している。京東を例にとれば、「ダブル11」期間に城鎮(小都市)・農村の契約者数は数千倍増加、京東も支援を通じて貧困地区の農産物の生産販売チャネルを開拓した。