「上海蟹を買いたいが、本場の陽澄湖産を扱う店はどこか」、「紅富士を買いたいが、市場に出回っている紅富士は店によって価格に大きな差がある」。このような困惑を経験した消費者は多いだろう。
従来は業者の口コミや判断のコツに頼っていたが、安徽省碭山県の消費者は違う。ここで生産される酥梨には「身分証」があり、箱にQRコードが貼られ、携帯電話で読み取ると原産地の梨かどうか、生産した合作社、使用した肥料など全ての情報を閲覧できる。
安徽省碭山県は近年、「デジタル果樹園」イノベーションプロジェクトに取り組み、「IoT、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、インターネット」を果物産業に取り入れ、栽培、生産、販売の全チェーンの情報管理プラットフォームを構築した。
碭山県三聯果物野菜専門合作社の梨園の管理は科学技術館に溢れている。気候・気象観測ステーションでは風向計と風向計が風で動き、現代的なスマートデータ採集記録計、センサー、接続線が土の中に埋まっている。合作社の責任者の劉超綱さんは、「これらの科学技術設備は風速、風向、土壌の湿度、温度、照度などのデータを正確に測り、データをもとに科学的に水と肥料を与えることができる」と話した。
劉超綱さんが碭山県「デジタル果樹園クライアント端末」を開いてデータを見ると、梨園の照度は高く、オプションを開くと木の下に埋まっている水道管からすぐに水が噴射された。劉超綱さんによると、以前は経験に基づいて栽培し、見落とすこともあったが、現在はシステムが管理をサポートし、細かい管理問題もクライアント端末でできるようになった。病虫害などの困難に直面した場合はオンラインで県内の果樹専門家に相談し、クライアント端末が提供するIoTビッグデータを通して遠隔で診断を受けることもできる。
観光客も新しい体験をしている。「デジタル果樹園クライアント端末」ではここで栽培する果物、酥梨に関する情報を閲覧できるほか、肥料散布や剪定などの果物農家の作業も高画質の動画で見ることができる。興味があれば、酥梨の木を購入し命名し、オンラインで360度の角度から観察することも可能。春の花、夏の自然、秋の味覚などがあり、携帯電話を通して引き取った梨の木の栽培過程を観察できる。
毎年の碭山県梨花祭と酥梨収穫祭の時期、梨の木の所有者は無料で入園し自分の木を観察でき、食事と宿泊も含まれている。碭山県政府の職員の李艶龍さんは長期的な視点を持ち、「デジタル果樹園は果物の生産、流通、販売などのスマート管理、生産の記録、質の遡及、ECの販売を可能にすると同時に、梨産業の一二三次産業を融合させる」と話した。
豊作の時期を迎え、三聯果物野菜専門合作社のデジタル果樹園では黄金色の丸々とした酥梨にラベルが貼られ、箱に詰められ、全国各地に発送されている。劉超綱さんは酥梨の販売の秘訣について、「梨それぞれにコードと番号をつけ、消費者が安心して購入できるようにした。私たちのビジネスも梨園と同じで、黄金色に輝き好調」だと話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年1月12日