中印製造業、協力の大きな潜在力を秘める
インド製に対して、中国の多くのネットユーザーはこれを笑いの種にするか、中国製を脅かす存在と考えている。筆者は、まだ坂を登る段階のインド製には当時の中国製と同じような状況が存在しており、より客観的な態度で見守るべきと考えている。
まず、中国の製造業の輸出額は2010年に世界の19.8%を占めた後、常に世界一をキープしている。インドの製造業の輸出は上昇傾向を示しているが、その規模は中国を大きく下回る。
次に、中国は「要素駆動―市場駆動―科学技術駆動」の工業化の道を歩んでいる。中国の目標は科学技術駆動に移り変わり、世界のバリューチェーンの川上に到達することだ。中国の人件費と地価の高騰に伴い、労働集約型製造業の中国における発展の優位性が日増しに失われていっている。これは中国の製造業にモデルチェンジを迫っている。インドの工業化の道は中国と異なり、「科学技術駆動―市場駆動―要素駆動」の道を歩んでいる。発展方向は市場駆動と要素駆動への移り変わりであり、これによって多くの雇用機会を創出し、人口ボーナスの優位性を発揮し、経済成長を刺激する。中印の製造業発展段階が異なるため、両国の製造業発展戦略に協力の空間をもたらしている。双方はインドの人件費の優位性、中国の資金と技術の優位性を利用し、共に製造業の発展水準を高めることができる。先進国の「再工業」戦略の衝撃に対応し、互恵・ウィンウィン・協同発展を実現できる。
それから、中印の製造業は競争の性質が弱く、相互補完性が高い。中印両国の製造業の輸出品目類似度は、2000-17年に47-60の間で推移した。競争は存在するがそれほど激しくもなく、競争は主に食品加工及び建造、飲料製造業、紡績などの初級製品、それから石油化工・コークス業界、非鉄金属冶金などの工業加工に集中している。医学製造業、交通運輸設備製造業、専用設備製造業などの資本・技術集約型業界では、両国の相互補完性が高い。両国の貿易結合度指数を見ると、中国のインドに対する貿易結合度指数が全体的に上昇傾向を示しているが、逆は低く近年になり下降傾向を示している。これは中印貿易赤字が大きい理由でもある。両国が自国の優位性と相手国の劣勢を結びつけ貿易構造をさらに調整できれば、中印貿易は大きな発展を実現できる。両国の貿易の潜在力を引き出せる。
そのため我々はインド製のさらなる成功、順調な発展を否定するのではなく、アジアで東アジア・東南アジア・南アジアを網羅する大きな製造業地域クラスタを形成するべきだ。これは中印関係の発展と「アジアの世紀」の形成を促し、かつ世界産業チェーン内における地位を高め、グローバル化を推進することになる。(筆者・李涛 四川大学南アジア研究所国家社会科学基金重大プロジェクト「一帯一路を背景としたヒマラヤを跨ぐ共同研究」首席専門家/筆者・秦衛娜 四川大学中国西部辺境安全・発展研究センター博士課程在学中)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年2月22日