日中経済協会
調査部長 髙見澤 学
ボアオ・アジア・フォーラム2019年年次総会が3月28日に開幕した。今年の年次総会は開放型世界経済、多国間主義と地域協力・グローバルガバナンス、革新駆動、質の高い発展、ホットな最先端の5セクターのテーマを設置。うち、「サービス業の開放」、「中日健康医療交流」などのサブフォーラムと円卓交流が注目を集めている。「開放」というキーワードは全ての活動で見られる。フォーラムで、中国が示す全面的な対外開放の姿勢は注目を集め、先日採択された『外商投資法』もこの開放姿勢を示している。
今年3月の全国人民代表大会(全人代)で、「外商投資法」が制定された。日本企業をはじめとする外国企業が中国ビジネスを進めていく上で、大いに歓迎すべきことだと思われる。
「外商投資法」の内容で、外国企業が最も注目していると思われることは、外商投資企業の投資保護が強化されている点であろう。知的財産権保護の強化はもとより、今回は特に外国企業が中国に投資する際の行政手段による強制的な中国企業への技術移転が禁じられている点である。これまで、外国企業による技術移転は慣習的に行われ、中国政府による半ば強制的なものと思われていた面もある。「外商投資法」の制定により、その疑念が払拭されたばかりでなく、強制的な技術移転を法的に禁止した条文が盛り込まれたことの意義は大きい。
また、外商投資に対する収用が原則的に行われないこと、外国投資者に対する各種の適法収入の自由な海外送金が可能なこと、地方政府による外商投資企業の正常な生産経営活動を阻害する違法な介入を禁止したことなども、外国企業にとって歓迎すべき内容となっている。