今年3月15日、第13期全国人民代表大会(全人代)第2回会議は「中華人民共和国外商投資法」を表決・可決した。同法の可決の意義をどうみるか、実施の見通しはどうかといった問題が、中国への直接投資大国である日本で世論が注目する焦点になっている。雑誌「環球」が伝えた。
こうした問題について、元日本通商産業省北東アジア室長、在中国日本大使館元経済部参事官の津上俊哉氏、みずほ銀行執行役員、瑞穂銀行(中国)有限公司董事長の岡豊樹氏、在日中国人企業家の代表、日本吉林総商会会長の荘旭氏ら、関連分野の専門家に話を聞いた。
▽中国でこのたび可決された外商投資法の特徴と意義をどうみるか?
津上氏は、「このたび可決された外商投資法は外資系企業に対する管理や制限を緩和するだけでなく、外資の中国参入の保護・促進を全面的に打ち出した内容を含む。同法は可決までの期間が短く、実施細則はさらに整備する必要があるが、それでも十分期待できるものといえる」と述べた。
岡氏は、「中国がこのたび外商投資法を可決したことの意義は重大だ。2018年4月、ボアオ・アジアフォーラムに参加した際、中国の金融市場が対外開放をさらに進め、銀行、証券、保険に関する内国民待遇プロセスを推進するとともに、期限を明確にしたことを知った。これは非常に意義深いことだ。現在、外資系銀行は中国で約3%のシェアしか占めていないが、金融市場が開放され、各種事業が拡大・発展すれば、金融機関は一層活発になるだろう」と述べた。
岡氏は続けて、「たとえばみずほ銀行の持ち株会社であるみずほフィナンシャルグループは、銀行、信託、証券、資産管理、研究機関を擁する総合金融機関であり、日本の上場企業の70%を顧客とする。中国が外資系企業へ徐々に市場を開放すれば、みずほ銀行は中国でのネットワークやサービスのラインアップといったインフラの構築を充実させて、日本から中国へ進出する企業がより便利に、迅速に中国事業を展開できるようになるだろう」との見方を示した。