中国人民銀行(中央銀行)はこのほど、2019年5月15日付で、地方(県域)中小銀行に対し、優遇された低い預金準備率を適用すると発表した。本県級行政区域内のみで営業、もしくはその他の県級行政区域に支店を持つ総資産100億元以下の農村商業銀行に対し、農村信用社と同等の預金準備率を適用する。現在は8%。
人民銀行によると、約1千行の県域農村商業銀行が今回の優遇政策の対象となり、長期資金約2800億元が市場にリリースされ、全額が民間企業と小規模・零細企業向けの融資に充てられる見通しだ。
交通銀行チーフ・エコノミストの連平氏は、今回の指向的な預金準備率引き下げが、金融供給側構造改革の方針に沿ったもので、「信用向上」の政策効果を一層上げ、人民銀行による適度に緩和された流動性管理の具体的な措置になると分析。県域で営業する中小銀行の預金準備率が11%から8%に引き下げられると、農村信用社や農村合作金融機関と同等の水準となり、中小銀行の中長期資金が増え、民営企業と小規模・零細企業に対する積極的な融資を後押しすることで、銀行のサービス水準が向上するとの見方を示した。
「これまで企業向け融資コストの低下が緩やかだったのは、金融機関の流動性・信用リスク選好が制限されていたためで、民営企業と小規模・零細企業を大規模な融資で支えることは難しかった。今回の指向的な預金準備率引き下げなどの政策は、優遇預金準備率の枠組みがすでにでき上がり、今後も継続して進められる可能性を示唆している」。今後の見通しについて連平氏は、政策方針に沿って業務を行う銀行に対する流動性の支援が拡大し、指向的な金融調節ツールも多様化する可能性があるとの見方を示した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年5月7日