米国にはいつも中米間のいわゆる「巨額の貿易赤字」が気がかりでならず、何かというと「米国は毎年中国に5000億ドル負けている」「米国は製造業で数百万人の雇用を失った」などの言い分を口にし、それを理由に米国は中米貿易の被害者だと主張する者たちがいる。過去1年間、こうした「米国は損をしている」論は米国がころころ言動を変え、中国側の誠意を顧みず、頻繁に中国に対して最大限の圧力を加える、いわゆる根拠の1つに再三なってきた。(人民日報「鐘声」国際論評)
米国は世界最大の経済大国であり、世界貿易のルールの制定者だ。米国が「損をしている側だ」と言うのなら、自らの制定したルールが自らを損ない、他国を利しているというのか?世界貿易においても対中貿易においても、米国は被害者ではないばかりか、逆に大きな利益を得てきたのだ。この点を米国の関連業界、消費者、経済学者はよく分かっている。
米国の巨額の貿易赤字は決して中国が原因ではないし、中国によって解消されるものでもない。一つには、過度の消費、貯蓄不足、巨額の財政赤字が米国の貿易赤字を生んだ根本的原因だ。もう1つには、米国は国際貿易の主要決済手段及び準備通貨としてのドルの地位を利用し、拡大し続ける貿易赤字の助けを借り、米国債のドル建て購入を通じて大量の安価な資本を獲得し、ハイテク分野の投資を用いて、経済グローバル化の最大の受益者となってきたのだ。米ハーバード大学ケネディスクールのカーメン・ラインハート教授(国際金融システム論)は、米国が貿易黒字国を非難しても何の意味もないと指摘する。ラインハート教授の見解は国際的に主流の経済学者の見解を代表している。
対中貿易赤字は表象に過ぎず、中国における米国のビジネス利益の真相を反映するものではない。世界経済はとうにグローバル・バリューチェーンの時代に入っている。生産を見ると、米国はグローバル産業チェーン、バリューチェーンのハイエンドに位置し、特許技術、コア部品、研究設計、マーケティングなど高付加価値部分を支配し、莫大な利益を得ている。iPhoneの例はよく知られている。もし全ての黒字統計を最終生産品の輸出国に帰するのなら、貿易における価値分配が客観的に反映されないのは明らかだ。実際、WTOとOECDは2011年以降、バリューチェーンにおける国家の真の利益獲得状況を示すため、「世界製造」の視点で国際生産を捉え、「付加価値貿易」で算出する方法を打ち出した。ただ残念なことに、米国はWTOなど国際機関に対して一貫して「自国に都合が良ければ利用し、都合が悪ければ退ける」姿勢を取っており、自国にとって利用価値がなければ、支持もしない。