全国政協委員、中国国際貿易促進委員会長の高燕氏は記者のインタビューに応じた際に、「貿易は両国の企業と消費者の自発的な選択の結果だ。米国は中国に対して巨額の貿易赤字があると考えているが、これは一方的な統計方法を採用し、サービス貿易と越境投資の貿易に対する代替性、ハイテク製品の輸出規制などの影響を見落としているからだ。中米貿易の不均衡は偽の命題だ」と述べ、次のように説明した。
中米貿易の実情をより明確に把握するため、国内外の多くの専門家が中米貿易の全面的な計算を行っている。グローバル投資の貿易に対する代替性を見落とすことはできず、「所有権に基づく貿易黒字」の計算方法の方が中米貿易関係の実情をより良く反映できると判断した。中米双方を例とすると、同計算方法を採用すると次のようになる。中米貿易黒字=(中国の対米輸出額+中国企業の米国での売上)−(米国の対中輸出額+米国企業の中国での売上)。うち貿易額には貨物貿易とサービス貿易が含まれる。米国の経済学者のハイマー教授は1960年に、米国企業の国際投資はその輸出に対して大きな代替性を発揮していると指摘した。実際に米国は既存の貿易統計システムに存在する不備を意識しており、90年代前半から所有権を基礎とする貿易統計枠組みの使用を開始している。ドイツ銀行の専門家も年初、類似する研究報告書を発表していた。
米商務省経済分析局(BEA)のデータに基づき上述した計算方法を採用すると、次のようになる。子会社を基準とする統計では、2009−17年の中米間の「所有権に基づく貿易黒字」は年々減少している。2017年を例とすると、中国の米国に対する「所有権に基づく貿易黒字」は453億ドルのみ。統計対象をさらに広げ、すべての中国における米国企業を収めるならば、米国は2009−17年に渡り中国から「所有権に基づく貿易黒字」を手にしており、規模も145億ドルから1604億ドルへと拡大を続けている。