米トランプ大統領が今年に入ってから何度も関税の大棒を振り回し、中国やインドなどの新興市場が被害者となっただけでなく、EUや日本など米国と昔から友好的だった国も対象となっている。トランプ大統領は、貿易関税が米国の財政収入を増やし、巨額の債務償還につながり、米国経済の助けになると考えている。
「神ロジック」で世界を驚かせながら、保護貿易主義や経済ポピュリズムが米国を誤った岐路に陥らせており、覇権が日ごとに零落する米国が「再び偉大になる」ことはないだろう。
一、保護貿易主義が米国経済最大の内憂とリスクになっている。
米国経済は「見かけ倒し」で、高成長を持続することが難しい。第一に、税制改正の刺激作用が大きく「後退」した。第二に、巨額の債務が財政刺激の余地を狭めている。第三に、長期的な経済成長の原動力が大きく不足している。
二、保護貿易が米FRBを「二の困難」に陥らせる。
中国などの貿易相手国と「関税戦争」を展開することは、米国の消費者負担と民営企業の生産コストを直接的に高め、米国経済のインフレ圧力を強めると同時に、米国の実体経済を損ねる。トランプ大統領の保護貿易政策は「火遊び」であり、米国経済の「スタグフレーション」リスクを拡大し、米FRBは未曾有の政策的苦境に陥り、利上げと利下げの実施が「どちらも困難になる」恐れがある。