欧州委員会のセシリア・マルムストローム通商担当委員は先ごろ、米国による鉄鋼・アルミニウムへの追加関税発動は、世界の自由貿易体制を揺るがし、世界経済に打撃を及ぼす、「純粋なる保護主義動き」だと指摘した。
「アメリカ・ファースト」の本質とそれによって得られる成果とはどのようなものであろうか?楊燕怡氏はこれについて、著名経済学者で米コロンビア大学教授のジェフリー・サックス氏の著書、『新外交政策――アメリカ例外主義を超えて』の中に核心をついた記述がみられると指摘する。
各国の利益は密接に絡み合い、運命を共にするような関係にあり、いつの時代でも国際協力は欠かせず、直面するリスクや試練に共に向き合ってきた。これに対し、米国は独断専行で「アメリカ・ファースト」という極端な主義政策を採り、国際ルールを乱し、「アメリカ例外主義」を根付かせてきた。――即ち、米国は他のいかなる国とも異なり、偉大であり、かつ世界をリードすることが定められているというものだ。
こうした「毒に侵された」考え方は、米国自身に甚大な損害をもたらすだけでなく、世界に対しても極めて危険であり、米国を「偉大」にさせないばかりか、逆に「第二次世界戦争後の世界のリーダー」を「21世紀のならず者国家」にさせるおそれすらある。
米国にはまったく別の選択肢がある――つまり、中国、国際社会と協力・ウィンウィンの関係を構築することだが、ゼロサム思考が米国の政策決定者の目を塞いでしまっている。仮に米国が考える「偉大さ」が他国の利益を損なうことを前提としたものであるなら、この手の「偉大さ」は本来の意味から乖離し、国際社会からは相手にされなくなるであろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年5月25日