ミクロ面からみたイノベーションの活性化はマクロ面の統計データにあらわれている。デジタル化された製造現場やスマート工場は200カ所以上も建設され、産業用ロボットの生産台数は14万台を上回ったほか、工業企業の研究開発や設計部門におけるデジタルツールの普及率は68%に向上した。中国のスマート製造の市場規模は年内に1.9兆元を上回るとも予想されている。こうした数値からみても、新製造は新たな技術革新と産業変革を起こす原動力として、中国にイノベーションのブームを巻き起こすもととなっているのが分かる。
新製造は、ビッグデータやアルゴリズムによって需要と供給を正確にマッチさせることで、オーダーメイドとフレキシブル生産を実現した。金属彫刻で知られる浙江省紹興市の老舗「朱府銅芸」の場合、消費者のデータを分析して、若年層が好みそうな銅彫刻の生産雑貨をつくるなど、5代目が新たな形で伝統を受け継いでいる。浙江省寧波市のアパレルメーカー、申洲国際 の場合、ビッグデータなどのデジタル技術によって、需要にあわせた多品種少量生産が進むなか、高い収益性、成長性、時価総額を実現した。
ビッグデータとクラウド・コンピューティングを分析することで、消費者側と生産者側のデータを照合し、消費者側のビッグデータを反映させて生産者側の製品製造の最適化が行えるなど、製造業のモデル転換と高度化に向けた新たな手段を提供することが可能となる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年5月29日