中国商務部は5月31日、非商業的な目的で、中国企業に対して封じ込めや供給停止、差別的な行為を行う一部の国の実体(エンティティ、企業や個人などの事業者)を対象に、「信頼できないエンティティ・リスト制度」を構築すると発表した。同リストの対象となる外国の実体に対して、中国は必要な法律と行政措置を講じる方針だ。
中国が「信頼できないエンティティ・リスト制度」を構築する4つの重要な意義とは次の通りだ。
(1)米国の貿易上のいじめ行為に反撃するための現実的必要性
中国商務部は、エンティティ・リスト制度で4つのレッドラインとなる基準を設定、外国政府の扇動により、中国企業に対して◇封じ込め、◇市場ルールや契約精神に反する行為、◇中国企業に実質的な損害をもたらす行為、◇中国の国家安全を脅かす行為、を行なった実体に対して、強硬な措置を採る方針だ。これは、中国が自国の経済的な利益を守るための規則制度の基盤整備を加速しており、より効果的に、対等に貿易上のいじめ行為に反撃するとともに、他人を犠牲にしたり、弱みにつけ込んで打撃を与えたりする外国の実体に脅威を与えることが可能になることを意味する。中国は米国の仕掛けた経済闘争に対して、やむを得ず報復するスタンスから、主体的に対応するスタンスに変わりつつある。
(2)国家の安全を守るための重要措置
中国商務部が発表したように、同エンティティ・リスト制度を構築する主な狙いは、経済・科学技術・情報・資源安全などを含む国家の安全を守ることだ。米国が中国に対して関税戦争を発動し、中国の科学技術企業を抑圧し、投資審査を強化、輸出規制を厳しくしたことは、経済的利益を狙うにとどまらず、世界の産業チェーンの加工製造における中国の中核的地位を破壊し、中国の科学技術の進歩を遅らせ、経済競争力を弱め、中国経済に対する世界の信頼感を揺るがすための戦略的な企みだ。これはすでに中国の国家安全に対して厳しい試練をもたらした。