英経済誌『エコノミスト』は11日、「中国のシリコンバレーが中国を変革。だが、世界を変えるには至らず」と題する記事を掲載した。
王瀚洋さん(音訳)は十幾つかのころ、「中国のシリコンバレー」と呼ばれる北京市中関村の電子製品街に魅せられ、すっかり虜になってしまった。王さんは動物園を夢中で見て回る子どものように、ハードディスクやらグラフィックカードやらが並べられた市場を歩き回っては知識を吸収していった。
政府はこの辺り一帯を科学技術センターにするつもりでいたが、2009年までは特に進展はなかった。中国ではその頃すでに、米国の検索エンジンやSNS企業に倣倣い、成功を収めたハイテク企業も存在していたが、全体でみれば、中関村はそれほど発展していたわけではなかった。
だが、今は違う。25歳になった王さんはドローンのソフトウェア開発を手がける2つ目の会社を立ち上げるまでになっていた。中関村は当初の電子製品街から、北京大学、清華大学の2つの名門大学を擁する北京市北西部の巨大区域にまで規模を拡大。今や中関村といえば地区名であると同時に、名実ともに中国の「シリコンバレー」ともなっており、中国国内で最もイノベーションが成就する希望のある場所となっている。