上海市が1日より、ゴミ分別を正式に開始した。これに続き北京市のゴミ分別の立法作業も本格化している。ゴミ箱などの伝統的な製品が売り切れになっているほか、生ゴミ処理機のような海外の高級でニッチな商品も人気になっている。
中国の家庭が出すゴミのうち、生ゴミが高い割合を占めている。これは食習慣によるものだ。そのため生ゴミ処理機の導入は、ゴミ処理の重要な手段の一つとされている。特に生ゴミの分別は面倒で、「乾いたゴミ」と「湿ったゴミ」に一つずつ分ける必要がある。またゴミ袋はリサイクル用のゴミ箱に捨てなければならない。ところが生ゴミ処理機があれば、これらの手間を根本的に解消できるため、消費者から注目を浴びている。その価格も2−3000元前後で、一般家庭の許容範囲内だ。
メディアの報道によると、上海市の生ゴミ処理機の組立工の作業量と収入が今月1日以降に倍増している。多くの業界関係者も「チャンス到来」と喜んでいる。
上海市環境保護科学研究院は昨年、「上海市の家庭の生ゴミ粉砕直接廃棄のフィジビリティスタディ」の最新の成果を発表した。それによると、上海の1割の家庭で生ゴミ処理機粉砕直接廃棄システムが普及すれば、同市の生活ゴミを毎日1300トン以上も削減できる。ゴミ焼却場の処理費用は毎日89万8600元削減され、埋立場の処理費用は毎日13万9000元削減される。
ところがこれは中国の国情に合っているのだろうか。この話題は民間でも物議をかもしている。
最大の争点はこうだ。まず、食物に含まれる油脂は下水管の曲がる部分に付着し、詰まりを起こしやすい。次に、粉砕後のゴミを下水管に直接廃棄すれば、老朽化の激しい団地の下水管と都市の汚水処理場に圧力がかかるかもしれない。
国内の最も権威ある機関、同済大学都市汚染制御国家技術センターは何年も前に、生ゴミ処理機の上海での普及による環境面の経済効果について、専門的な評価報告書を作成していた。
同報告書は実験と調査により、上述した2つの疑問に関する結論を導き出した。生ゴミ処理機を使用すると、下水管内に付着した油脂が大きな衝撃力により剥がれ落ちるようになる。排水システムの詰まりを起こすことはなく、むしろ曲がった部分の沈積物や油脂の除去を促すというのだ。
同報告書は生ゴミ処理機の上海での普及率を10%以下に留めるよう慎重に提案したが、これには注意が必要だ。大規模な普及により問題が生じる恐れがあるというのだ。
長虹美菱股份有限公司の劉宏偉常務副総裁は、米国で長年生活した経験を持つ。彼によると、生ゴミ処理機は都市のゴミ処理の重要な「補助手段」であり、これだけで生活ゴミのすべての問題を解消しようとすれば非現実的だ。
劉氏は急に訪れたチャンスについて、「資本と企業は理性的に見据え、慎重に進出するべきだ。生ゴミ処理機は小型家電だが、その技術力を無視できない。既存の企業はすでに長年に渡り技術を蓄積している」と述べた。
ある家電業界の関係者は、国内ゴミ処理の能力は現在過剰になっており、単にブームに乗って盲目的に生産ラインを建設するならば一定のリスクに直面すると指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年7月23日