蘇州工業園区の晴林橋に立つと、周囲に広々とした景色が展開される。
そのほど近くには、産業団地が広がっている。ジョンソン・アンド・ジョンソン(J&J)は13年前に蘇州「入居」を決めた当時、現地に300人規模の整形外科医療機器製造工場を建設した。ここはその後、敷地面積27万8000平方メートルの総合産業団地になった。この面積は中型のサッカーコート50枚分に相当する。
「J&J蘇州で、産業団地はキャンパスと呼ばれている」90年代生まれの葉乾氏は、キャンパスから別のキャンパスにやってきたと笑いながら語った。蘇州の現地人である葉氏は2012年に欧州で留学・卒業すると故郷に戻り、J&J蘇州で勤務を開始した。実験室のアナリストから始め各部署をめぐり、現在はJ&J医療蘇州エチコン工場プロジェクトチームのメンバーの一人になっている。
米国系企業だが、葉氏はJ&J蘇州産業団地の多くの細やかな点に親しみを覚えている。団地内の会議室には、留園、拙政園、網師園、退思園など蘇州の園林の名がつけられている。竹、柳、あずま屋、木製の桟道など、団地内には東洋らしさが散りばめられている。「工場はキャンパスのようであり、花園のようでもある」
葉氏が新たに加わった同工場は、今年1月に竣工したばかりだ。投資総額は1億8000万ドルで、J&J医療の中国サプライチェーン拡大加速の重要な節目とされている。J&Jグローバルサプライチェーン戦略バイスプレジデントは、同工場の竣工式で「エチコンというブランドの入居に伴い、J&J蘇州の生産能力は今後も拡大を続け、J&J医療の中国及びアジア太平洋エリアにおける最大の総合産業団地になる」と表明した。
「この総合産業団地は、社内では共有の産業団地と呼ばれている」J&J蘇州無菌保証総監の劉雪美氏は記者に、「この産業団地に今後入居するJ&J運営ブランド・事業は、土地・コスト・資産・サービスを共有する。人材とリーダー、組織文化を共有する。私が現在所属している微生物実験室はすでに共有を実現している。また産業団地内の整形外科機器工場、外科機器工場に試験サービスを提供している。設備、管理、技術方法などが共有資源になっている」と述べた。
J&J蘇州製造工程マネージャーの張丹丹氏は、J&J蘇州に来てからまだ2年余りだが、関連業界で10年以上の経験を持つ「ベテラン兵」だ。
張氏は「外資系企業は以前、社内資源を使い研究開発とイノベーションに取り組むことが多かった。今は開放と協力が、グローバル企業の中国におけるイノベーションの発展傾向になっている。国内の多くの科学研究院・研究所による研究成果が世界から注目されている。企業は積極的に周辺と資源交流を行い、協力を拡大し、開放と共有の医療イノベーション生態系を共同で構築している。当社は昨年、長江デルタの大学12校を訪問し、長期的な事業提携を模索した。資源共有、相互補完、未来の製造の模索、科学技術革新の推進を目指した」と話した。
張氏は「開放と協力により、当社の研究開発及び生産が力強い中国の知恵によって支えられている。また多くの研究成果がキャンパスを出て、市場に向かっている。J&J蘇州の産業団地内では現在、AI自動化検査、VR加工操作教育などのトップクラスのプロジェクトが共同模索中だ」と述べた。
J&J中国エリア主席の宋為群氏は「当社は世界先進製品を持続的に導入すると同時に、現地でのイノベーション力を絶えず強化する。政府及び提携先と共に、開放的なイノベーション生態系を共同で構築する。これにより中国及びアジア太平洋で拡大・発展・変化を続けるヘルスケア事業の需要を満たす。中国は当社の世界事業において非常に重要な市場であり、中国事業の発展を重視している」と表明した。
J&J蘇州は誕生から13年に渡り、世界市場に数千万の高品質製品を供給している。先ほどは中国科学院蘇州ナノ研究所と開放型イノベーション協力プロジェクトの契約を交わした。1期協力では医療機器製造のコーティング技術に焦点を絞る。将来的にはAIなどの分野で、より多くの科学研究機関及び大学と協力を模索する見通しだ。
蘇州に根ざすJ&Jは、この都市の重要な一員になっている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年9月22日