これは興味深い見方で、多くの伝統的な発想では説明できない現象を説明できる。例えば貿易戦争は中米に大きな圧力をもたらしているが、両国には一つの共通する見所がある。それは予想以上に好調な雇用指標で、いずれも15年ぶりの高い水準となっている。これはデジタル技術を基礎とする第3世代インターネットインフラが急速に普及し、両国のデジタル代替技術(従来の産業がデジタル化の生産にアップグレード)及びデジタル創造技術(産業・消費アップグレード後の新たな経済的要素)、特に後者により高い雇用の柔軟性を与えたからだ。同じGDP成長率内の経済であっても、提供する雇用枠は製造業よりも多い。両国にはデジタル技術関連業務を把握している大卒者がいる。創意あふれる設計、デジタル化生産、メイカーのワークショップなどの支持を受け、各自の伝統的な経済のインキュベータとアクセラレータにより多くの実体を提供し、産業構造に変化を生じさせた。
新型インターネット経済の下で、労働の知識集約の程度がさらに上がる。スマートなヒューマノイドロボットが実用化されなければ、新技術も同じく労働力を高度に消耗する経済だ。これは伝統的な労働集約型とは異なる、より複雑に労働力を消耗する「知識・労働」集約型であるだけだ。ただし両国はいずれも1960年代の国民経済計算専門家が作り出した統計システム及び項目を維持しており、統計の際に第一・二・三次産業を過度に重視する。そのため一部の人は上述したハイテクを条件とする雇用の高い柔軟性への理解が不足しており、構造の変化における新経済の動力学的転換作用を見て見ぬふりしている。
中国と同様、米国の経済も産業フルカバー型の国民経済体制だ。ゼロサムゲームの考えを捨てれば、中米デジタル経済の相互補完性は非常に高い。ホワイトハウスは自他を損ねる貿易戦争を無理に続けるよりは、この新経済の成長の特徴をじっくり検討し、中国と協力しより良い成長を模索するべきだ。40年弱に渡り進歩してきたデジタル技術、スマート製造、ネットワークインフラが、世界経済に対してより大きな効果を発揮できるようにするべきだ。(筆者・曹和平 北京大学経済学院教授)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年10月6日