上海に住む女性の何さんは最近、1人用の炊飯器を購入した。「家ではいつも1人で食事をします。普通の炊飯器だと3~4人分の量になってしまうので食べきれず、捨てるのがもったいない」。ミニ炊飯器を手に入れた何さんは、自分の食べる分だけのご飯を炊く。米の量が少なくてうまく炊けない事態になってしまうことはもうない。
スマート志向の青年である王さんは、以前から小型洗濯機を使っている。「一人住まいなので洗濯物は多くありません。多くても3キロぐらいです」と言う王さん。「私にとって“1人用”家電はもう生活必需品です。ミニ洗濯機は空間も節約できるし、機能は万全。賃貸暮らしの若い独身にとても合っています」。
近年、“1人用”家電が電器市場でシェアを伸ばしている。天猫(Tmall)のデータによると、今年の“双11”セール期間に売れた“1人用”家電の販売増加率は全体の増加率の2倍だった。ミニ厨房機器は230万台が売れた。うち広州、上海、深圳、北京、杭州での販売数が全体の18%を占めた。
急速に伸びる新市場が、より多くの小型家電を誕生させた。天猫の厨房電器業界担当である朱明璇氏は、「これまでの市場は有名ブランドばかりでした。現在、新進気鋭ブランドもファッション性と機能を兼ね備えた“1人用”家電を売り出すようになりました。“1人用”家電の種類はますます豊富になっています。厨房機器を例に採ると、これまでの炊飯器や電気ポットから現在ではホットサンドメーカー、電気マグカップ、豆乳メーカー、ミキサー、コーヒーメーカーなどほぼ全てが網羅されています」と話す。
消費のバージョンアップの体現
“1人用”家電の出現は、現代人の生活の中から生まれた新たなニーズであり変化を満足させるものである。
中国の世帯規模が縮小していることが“1人用”家電が流行する主要因だと、多くの業界筋が語る。上海金融法律研究院の劉遠挙研究員は、「標準世帯はもはや3人ではなくなった。もともと3人だった世帯は、1人暮らしの子供と2人の夫婦という2種類の小さな世帯に分離している」と述べる。