北方のクリーンな暖房に新たな選択肢が備わった。かつて北方地区の暖房方法は石炭が中心的で、安定せず汚染も深刻だった。今や山東省煙台市海陽原発の暖房プロジェクトの実用化成功により、原子力というクリーンな暖房方法が徐々に各世帯に進出することになった。
国家電力投資集団有限公司山東海陽原発暖房プロジェクト1期プロジェクト第1段階が11月5日、正式に稼働開始した。カバー面積は70万平方メートル。山東核電有限公司の社員寮と周辺の約30の団地で、暖房方法が石炭から正式に原子力に変わった。
山東核電の関係者によると、これは主に原子炉2ループから得られる蒸気を熱源とする。発電所内の熱交換ステーション、発電所外の暖房企業の熱交換ステーションで熱交換を行い、最終的に市政暖房パイプネットワークにより各世帯に熱を届ける。
関係者によると、原子力の暖房の全過程は、蒸気加熱と温水加熱という2つのサイクルのみだ。また原子炉と利用者の間に複数のループを設置し隔離し、各ループ間では熱が伝達されるだけだ。利用者の暖房パイプ内の温水も団地内で閉ループし、原発との間に何層もの隔たりがあるため、非常に安全だ。
推算によると、海陽で今回実施される70万平方メートル原子力暖房により、1年で標準石炭使用量を2万3200トン削減できる。粉塵の排出量を222トン、二酸化硫黄を382トン、窒素酸化物を362トン、二酸化炭素を6万トン削減できる。省エネ・排出削減、環境改善の効果が顕著だ。
建設初期の投資額は同規模の石炭燃焼ボイラーを上回るが、竣工後のランニングコストはそれを大きく下回る。さらに耐用期間は60−80年と後者の3−4倍だ。
海陽原発は2023年に暖房面積を3000万平方メートルにする計画を立てている。長期的には2億平方メートル以上とし、膠東半島で広く活用する。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年12月11日