新型コロナウイルス、ワクチンの開発が「スロー」な理由は?

新型コロナウイルス、ワクチンの開発が「スロー」な理由は?。先ほど開かれた新型コロナウイルスワクチンシンポジウムにおいて、米メイヨー・クリニックワクチン研究部主任、Vaccine誌編集長のグレゴリー・ポーランド氏は、新型コロナウイルスワクチンの緊急性とハイリスクについて、「我々は飛びながら飛行機を作っている」と形容した…

タグ:新型コロナウイルス ワクチン

発信時間:2020-03-06 15:30:59 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 先ほど開かれた新型コロナウイルスワクチンシンポジウムにおいて、米メイヨー・クリニックワクチン研究部主任、Vaccine誌編集長のグレゴリー・ポーランド氏は、新型コロナウイルスワクチンの緊急性とハイリスクについて、「我々は飛びながら飛行機を作っている」と形容した。


 感染症の世界における持続的な拡散に伴い、人々は効果的なワクチンの登場を待ちわびている。ところがどれほど切実な需要があろうとも、安全面を考慮するとワクチン開発はスローペースにならざるを得ない。ワクチン設計・生産の科学的な手順を飛び越すわけにはいかない。


 ワクチンの研究開発、明確な標的が必要


 ワクチンの研究開発は時間と経費のかかるハイリスクな活動だ。事前の設計、動物実験、計3期の臨床試験が必要だ。ウイルスの種類と採用する技術路線の違いにより、一般的には短ければ3−5年、長ければ十数年で販売にたどり着く。世界保健機関のテドロス事務局長は2月、新型コロナウイルスワクチンの準備は18カ月内に整う見通しと述べた。これでも相当ハイペースと言える。


 ワクチン開発はまず、ウイルスそのものについて十分に理解する必要があり、これにより初めて明確な標的が備わる。我々の新型コロナウイルスに対する認識はまだ全面的ではないが、科学者は完全にゼロからスタートするわけではない。その他のコロナウイルスの研究経験が基礎となる。


 中国から提供されたウイルス遺伝子配列により、米テキサス大学オースティン校及び米国立衛生研究所の研究者は冷凍電子顕微鏡を使い、新型コロナウイルスのスパイク状タンパク質の原子スケールの3Dコンフォメーションを再現した。清華大学、西湖大学などの科学研究者も、スパイク状タンパク質とACE2複合物の結晶体構造を解析した。これらの研究は、ワクチンの主要ターゲットの確定に基礎を提供した。


 新技術、安全性の検証が必要


 テドロス氏は先ほど、世界で20数種類の新型コロナウイルスワクチンが開発中と述べた。弱毒性ワクチン、サブユニットワクチン、DNAワクチンは、各機関が新型コロナウイルスワクチンの開発で多く使用している技術路線だ。


 米バイオ技術企業のModerna社は先ほど生産した、臨床試験に初採用される新型コロナウイルスワクチンに、第3世代ワクチン技術を採用していた。同技術はmRNA免疫誘導システムを利用し病原体のタンパク質に反応する。ところが世界では現在、臨床試験を終えたmRNAワクチンが存在せず、安全性と有効性の検証が待たれている。


 ワクチン開発には多くの無視できないリスク要因がある。専門家が「疾病の強化」という問題を懸念しているように、ワクチン接種を受けた人が次の感染、もしくはその他のウイルスの感染に対してより敏感になる可能性がある。また研究者は、血液中に抗体の水準を反映するバイオマーカーを見つけられるかなど、ワクチンの有効性を示す国際基準を形成しようとしている。


 さらにワクチンの開発後に量産化を実現できるかや、保管及び輸送の利便性などの多くの要素が、最終的に人々がワクチン接種を受ける時期に直接影響を及ぼす。


「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年3月6日


TwitterFacebookを加えれば、チャイナネットと交流することができます。
中国網アプリをダウンロード

日本人フルタイムスタッフ募集    中国人編集者募集
「中国網日本語版(チャイナネット)」の記事の無断転用を禁じます。問い合わせはzy@china.org.cnまで