感染症抑制と業務再開に取り組む中で、企業はコスト、人材、市場、原材料供給など多方面の試練に直面している。これらの課題に対応するため、国は財税、社会保障、融資などの一連の企業支援策を打ち出した。また、企業間で従業員シェア、データシェア、費用減免など様々な助け合いがブームになり、「春」を迎えようと力を合わせている。
「シェア」を通した助け合い
「食堂が開いていないため、多くの従業員が寮で時間を潰すしかない状況である。会社は様々な困難の克服に努めながら、盒馬鮮生に連絡し、シェア従業員として働けるようにしてくれた。自分を高めるだけでなく、西貝のためにもなる」。西貝餐飲集団上海星游城店の従業員の郭天嬌さんは日記にこのように記した。
感染症の発生後、伝統的な飲食業とECサイトは、一方は広範囲にわたる臨時休業で従業員が働けない、もう一方はネット取引の急増で人手不足という「真逆の状況」になった。この真逆の状況はイノベーションを促進した。2月上旬、盒馬鮮生は雲海肴や西貝などの飲食企業と「従業員シェア」提携を結び、京東、蘇寧、聯想など多くの企業も人材シェア、従業員シェア計画を打ち出し、感染症流行により臨時休業している企業の従業員を受け入れ、関連企業の圧力をある程度緩和した。
従業員だけでなく、データ資源のシェアも始まった。例えば、感染症流行の影響で、今年の春運(春節帰省ラッシュ)期間の民間航空業は大きなダメージを受けた。各航空会社はデータが比較的独立しているため輸送能力の投下が過剰かどうかを判断するのが困難という問題に直面していた。そのため、旅行サイトの去哪児網は航空会社に技術データ資源を無料で開放し、大量の交通データがあるという強みを生かし、AIアルゴリズムとビッグデータを応用し、航空会社向けの「データ砂盤」を構築し、業界の情勢分析と輸送能力の合理的投下をサポートした。
遼寧社会科学院副院長で研究員の梁啓東氏は『経済日報』の取材に対し、以下のように述べた。過去、企業の助け合いは同じ地域の類縁企業間で多く、資金、原材料、販売ルートなどの面で助け合っていた。感染症の流行後、一部の零細企業が資金、原材料、販促などの面で相互協力している以外に、新しい現象も見られるようになった。地域の封鎖などの要因により、人の移動が不便で、一部の企業は急ぎの注文を受けても生産ができず、従業員シェア、特に技術者や熟練作業員のシェアという現象が生まれた。ある企業は技術と特許はあるが、情報、ルート、市場が滞り、提携という手段をとった。企業はシェアという形で現地の各種の生産要素を集めることで、地域を移動する必要がなく、企業間で長所を取り入れ短所を補い、あるものと無いものを互いに融通し合うことができる。
助け合いがより深層的に発展
梁啓東氏は、「企業の助け合いは表面上は企業間の物々交換、資金の相互支援、従業員レンタル、ルートシェアだが、実際は遊休状態の生産要素または充分に生かされていない資源をシェアし、産業チェーンの業種を超えた融合、上下流の融合を促進し、助け合いまたは多方面の利益と産業チェーンの価値の最大化を実現している。地域経済については、企業の助け合いであらゆる労働力、知識、技術、管理、資本の活力がともに高まり、社会に富をもたらす源泉の流れがよくなり、市場メカニズムが社会資源配分において決定的役割を発揮できるようなった」との見解を示した。