新型コロナウイルス感染症の流行が米国の農業にもたらした最大の影響は何か。米アイオワ州立大学農業経済学社のジョエル・ディヤング氏は、現時点で、全米の農民が受けた最大の影響は農産品の価格だと話した。
ディヤング氏によると、通常、春は穀類の市場価格が上昇するが、今年は農作物と家畜類の市場価格は低下した。
ディヤング氏は、「一部地域で肉類加工工場が操業を停止し、現地の肉類価格に影響を及ぼし、家畜に与える穀類の需要も減少している点に目を向けなければいけない。一部の地域ではエチルアルコール加工工場が操業を停止し、現地のトウモロコシの需要に直接影響した」と指摘。
ディヤング氏は、米国経済が回復しても、新型コロナウイルス感染症による農業への影響は長期続くと予想する。
米国の各州の農民も様々な影響を受けている。
オハイオ州ヒルズボロにあるブラウンファームの農場主のネイサン・ブラウン氏は、「2012年以降、トウモロコシ、大豆、小麦などの農産品価格の低下を経験し、自己調整して対応する習慣ができているが、今回は感染症流行が合わさり、災難に災難が重なったと言える。みんなが憂鬱な状態にあり、私たちは認めたくないが、苦闘しているのは確かだ」と述べた。
ブラウン氏は、「多くの他の業種が感染症流行下で在宅勤務ができるのと違い、農民は室内で作業できない。現地の農民が最も心配しているのは、新型コロナウイルス感染症の不確定性がオハイオ州の在宅隔離政策にどのように影響するかであり、州政府が住民に自宅待機を引き続き要請すれば、農民は春耕を開始できない」と話した。
一般的に、米国の農民は外国人労働者を雇用するが、外国人のビザが規制され、農場は短期的な人手不足に陥り、農業収入にもある程度影響することになる。