中国人民銀行(中央銀行)は10日、2020年3月と第1四半期(1~3月)の金融統計を発表した。3月末時点のマネーサプライM2残高は前年比10.1%増の208兆900万元だった。伸び率は前月末比で1.3ポイント、前年末比で1.5ポイント、それぞれ上昇した。マネーサプライM1残高は前年比5%増の57兆5100億元だった。伸び率は前月末比で0.2ポイント、前年末比で0.4ポイント、それぞれ上昇した。
人民銀行調査統計司の阮健弘司長は、3月のマネーサプライM2が前年比10.1%増と高い伸びをみせたことについて、「総じて新型コロナウイルス感染拡大の防止抑制と経済社会の発展の効果的な支援につながった」と評価した。一方で、新型コロナの影響により、第1四半期は景気下押し圧力が強まったと指摘した。こうした中、金融システム全体が一丸となって、さまざまな政策ツールを柔軟に運用し、新型コロナの抑制に向け支援を強化し、負の影響を回避したと説明。政策による指導の下、商業銀行の貸し出しが増えたことで、M2伸び率を大幅に押し上げ、社会全体の流動性を合理的かつ潤沢な状態に維持することにつながったとの認識を示した。
3月の社会融資規模 (=金融から実体経済へ供給される資金総額)の増加額は5兆1500億元と、前年比で2兆1900億元の増加となった。3月末時点の社会融資規模残高は前年比11.5%増の262兆2400億元だった。第1四半期(1~3月)社会融資規模の増加額は累計で11兆800億元と、前年同期比で2兆4700億元の増加となった。
中国民生銀行の温彬首席研究員は、3月の社会融資規模の増加額が増加した理由について、次の2点を挙げた。
1、人民銀行が実体経済の成長支援をより前面に押し出し、さまざまな金融政策ツールを運用。企業の操業・生産再開を支援するため、金融機関による貸し出しを増やし、実体経済における資金調達需要を満たすよう促したため。