「1年で年収100万元のネットショップが15万店誕生」「毎日4万人がネットショップを起業」「対外輸出から国内販売に切り替えた企業が売上前年比160%増に」――中国ではいま、ネットショップの起業の新しい波が押し寄せている。
■ネットショップ起業がいま盛ん
近年、実店舗での売れ行きが伸び悩みネットに進出する事業主が増えている。その新しい特徴はコンテンツの創作を得意とする人気店、Uターンで茶農家を始めた「90後」(1990年代生まれ)の退役軍人、別の事業に着手した貿易会社の二代目、フォークリフト工場でアルバイトしていた中等専門学校生などその背景も多種多様。
淘宝(タオバオ)業種責任者の張凱夫氏はインタビューで、「ネット通販の起業は今が一番いい時期にある!今年はコア事業主計画を全面的にグレードアップする」と意気込みを語った。
優品フォークリフトの創業者・鞠勇氏はそんな起業家の一人。中等専門学校卒業後上海でアルバイトし、長年勤めた店舗が倒産の危機に立たされた際ネット通販を思い立った。そして起業からわずか一年で年収2000万元に。「ネット通販だと未払い勘定がなく、製品受け取り確認後すぐに代金が支払われるところが魅力だった」と起業当時を振り返る。
コロナの影響で国内のネット通販に挑む貿易会社も少なくない。淘宝が中国新聞網に提供した最新データによると、この3カ月で国内販売に舵を切り替えた貿易会社の数は前年同期比160%増となった。またコロナ期間中にネット通販を始めた事業主は200%増というデータも。
■先駆を切るライブコマース
注目に値するのは、新たなネット通販の潮流の中で、ライブコマースが先頭を切る役割を果たしていることだ。ライブコマースは各社が競ってコア戦略に掲げ始めている。京東(JD.com)は今年初めて「618セール」でライブコマースを重要戦略として取り入れ、30万回のライブコマースを展開する計画だ。
2月以降、1200以上のブランドがライブコマースを開始、ライブコマースの回数は累計45万回に及んだ。これは毎日4000店が全国各地で淘宝ライブを配信しているという計算だ。
形式的にもライブコマースはバラエティー豊富になってきている。今年あるプラットホームの「618」ライブコマースでは、中高年向きのコンサートや若者向けのミュージックフェスなど臨場感溢れる高品質のイベントが盛り込まれている。
ライブコマースから派生した新たな職業もある。ライブスタジオにはプロデューサー、スタジオ統括責任者、照明責任者、ライブアシスタントなど14の新しい職種が制作に携わる。
例えばライブサービスを提供する配信代理チーム(TLP)は全く新しい職業だ。ある電子商取引プラットホームのデータによると、2019年にはゼロだったTLPは今では600以上に上り、新しい産業として急成長している。
収入面でも特筆に値する。大手人材サイト「智聯招聘」が発表した「2020年春季ライブ産業人材報告」によると、春節(旧正月)後のライブ業界の求人数は前年同期比132%と急増し、平均月収は9845元だった。