貿易戦争、新型コロナウイルス感染症、トランプ大統領の「米中関係を徹底的に断絶」という脅迫も現在のところ、米国企業が中国市場の成長に期待を寄せ続けることの妨げになっていない。在中国米国商工会議所が感染症のピーク後に行ったアンケート調査によると、圧倒的多数の米国企業が中国市場からの撤退を望まないと回答した。ドイチェ・ヴェレ(電子版)が伝えた。
しかしこの数週間内に大手米国企業が中国市場への投資を拡大した(EVメーカーのテスラなど)。テスラは今年5月、中国でモデル3を1万1065台販売し、中国市場の月間EV販売台数でトップになった。上海市にあるテスラの「ギガファクトリー」も拡張工事を急ピッチで進めている。
自動車産業は投資のバロメータと呼べ、米国企業が依然として従来の中国戦略を維持していることが分かる。フォードは1週間前、中国EV大手のBYDと購買同意書に署名した。後者はフォードの中国市場向けの新型HVにバッテリーを供給する。フォードは中国市場の合弁先の長安汽車とこの車を共同生産する。計画によると、フォードは2021年末までに中国市場で30種の新車もしくはマイナーチェンジ車を発表する。ゼネラル・モーターズ(GM)も先ほど、バッテリーメーカーの寧徳時代と「非常に緊密に」提携すると発表した。
自動車以外の市場の成長の将来性も、地政学的な摩擦がもたらすリスクを相殺できそうだ。米石油大手のエクソンモービル、小売大手のコストコやウォルマートはコロナ禍のなか中国事業の拡大を宣言した。ファーストフードのポパイズ・ルイジアナ・キッチンも5月中旬に初となる中国実店舗をオープンし、1500店の実店舗についてもオープンを計画している。
これらの米国企業にとって幸運なことに、コロナ後に中国人の購買力はそれほど衰えていない。今年5月の消費額はほぼ前年同期と同水準だった。ポパイズ・ルイジアナ・キッチン、コストコの上海1店目がオープンすると、利用客が殺到し外に長蛇の列ができた。来年はカリフォルニア州のユニバーサル・スタジオが北京で65億ドルを投資しテーマパークをオープンするが、同じような光景が展開されることだろう。上海ディズニーランドは1カ月前に営業再開した。