2020年に中国の食糧総生産量は6億6950万トンに達した。すでに6年続けて6億5000万トン以上で安定しており、17年続けて豊作となった。1人当たりで換算すると470キログラム以上となり、1人当たり400キログラムという国際食糧安全保障基準を大幅に上回る。では、食糧生産が毎年豊作で、状況が良い方向へ向かい続けている中でもなお、第14次五カ年計画(2021‐25年)で食糧生産を重視するのはなぜか?食糧生産能力を6億5000万トン以上必要とするのはなぜか?この拘束性指標(必ず達成しなければならない目標)をどのようにして確実に達成するのだろうか?
■食糧生産能力を6億5000万トン以上と定める理由
中国の食糧は毎年豊作で、生産量は高水準を維持しているが、消費量と比べると、均衡状態にはあるものの依然としてあまり余裕はない。食糧消費は広義には、住民の食糧消費総量と加工業の食糧需要量を含む。中国社会科学院農村発展研究所の李国祥研究員の分析によると、6億5000万トンの食糧生産能力があれば、第14次五カ年計画期間の中国の食糧消費総需要を満たすことができ、経済・社会発展を安定させるバラスト的な役割を果たすことができる。
耕地は食糧生産の生命線だ。食糧生産能力6億5000万トン以上というのは、中国の土地産出能力に基づく決定だ。中国人民大学農業・農村発展学部の孔祥智教授は「我が国の耕地の状況と生産力の発展水準から見て、第14次五カ年計画で食糧生産能力を6億5000万トン以上と定めたことは、我が国の実際の生産力水準と一致するし、食糧安全保障の責任をしっかりと担うことにもなる」と指摘する。
■この目標をどう達成するか
(1)政策、面積、生産量の安定化
中国共産党中央党校の農業問題専門家である曾業松教授は、「『政策、面積、生産量の安定化』は食糧生産能力の安定とつながる。政策の安定化は、食糧生産に関する制度を強化する必要がある。食糧生産支援の政策措置を整備し、食糧の主要生産区の強みを発揮し、食糧生産区の利益補償制度を整備し、主要生産県の奨励補助政策を整備する。面積の安定化は、永久基本農地、高水準農地建設を安定化し、食糧作付面積を安定化し、18億ムー(1.2億ヘクタール)という最低限必要な耕地を厳守する必要がある。生産量の安定化は、農業基盤を固め、重要農産物の有効供給を確保する必要がある」とする。
(2)主食品供給の省長責任制から食糧安全保障の党・政府共同責任へ
今年の中央1号文書は、「地方各級党委員会及び政府は食糧安全保障の政治責任をしっかりと担い、食糧安全保障の党・政府共同責任を実行しなければならない」とした。農業農村部(省)栽培業司(局)の潘文博司長は、「2014年末に食糧安全保障省長責任制を確立したのに続き、今年我が国は『食糧安全保障党・政府共同責任』の実行を推進している。食糧安全保障審査の『指揮棒』の役割をより良く活用することで、審査・評価基準を整備し、食糧生産の安定化に対する拘束力を強化し、党委員会と政府が共に力を合わせて管理し、国家食糧安全保障を確保する体制を推進する」とする。
(3)農地と技術による食糧生産確保戦略を持続的に推進
食糧の生産と良質な供給を確保する。今年と来年、中国は毎年高水準農地1億ムー(約667万ヘクタール)の建設を確保し、2022年までに10億ムー(約6667万ヘクタール)の完成を確保する。中国はすでに食糧生産機能区及び重要農産物生産保護区10億5800万ムー(約7053万ヘクタール)の画定作業を完了しており、高水準農地の建設事業を食糧生産機能区と重要農産物生産保護区で優先的に進めている。
食糧生産能力の確保には技術が必要だ。農業の主要技術やコア技術のブレイクスルーを加速し、水稲・小麦・トウモロコシ・大豆及び家畜・家禽の優良品種に関する難関攻略を共同で進め、良質な種の選択・普及を加速し、先端的実用技術の統合的革新と普及・応用を加速する必要がある。また、消耗削減技術を強化する必要がある。土壌に即した施肥、農業害虫に対する「グリーン防除」、マルチングなど先進技術の推進に力を入れ、農業の水消費量を減らし、化学肥料や農薬の利用効率を高め続け、土壌汚染を効果的に抑え、持続可能な発展を実現する。(編集NA)
「人民網日本語版」2021年6月21日