米国のバイデン大統領はこのほど、「チップおよび科学法案(CHIPS andScience Act of 2022)」(以下、「チップ法案」)に署名した。同法案は数千ページ、金額にして2800億ドルにも及ぶもので、米国のチップ製造業の立て直しと他の先端技術の開発を通じて中国に対抗することを目的としている。
同法案は完全に、米国の中国に対する戦略的競争政策の産物だ。「チップ法案」の核心的内容は米国内のチップ製造に500億ドル以上の補助金投入と税金の減免を進めること。米国が自国のチップ製造業を発展させる投資は正当なもので、世界的なチップ供給のひっ迫を緩和するが、米国の民主党と共和党が同法案を策定した目的が自らを強くするだけでなく、中国を抑えようとしているのは明らかだ。「チップ法案」には米国政府の補助を受けているチップ企業が向こう10年にわたり、中国で先端プロセスのチップ工場を建設できないと明記された。米国政府は国際的なチップ企業に中国と米国のどちらを選ぶかを迫り、中国のチップ産業の急速な発展を抑えようとしている。
米国は長らく、中国に対してゼロサム思考と覇権主義を貫いてきた。トランプ政権が中国に対する戦略的競争を公言して以降、米国はほぼ全ての重大措置において中国に対する戦略的競争を考慮している。これまで中興通訊(ZTE)、華為(Huawei)、中芯国際(SMIC)といった中国の半導体企業に一方的な制裁を加えてきた米国は、その対象を特定の企業から業界全体に広げようとしている。
米国政府のやり方は明らかに経済の法則に反する。米国の半導体企業は過去30〜40年間、アジア太平洋地域のファウンドリにチップ製造を委託しており、これは両地域の比較優位に適応した結果だった。台湾積体電路製造(TSMC)創業者の張忠謀氏が言うように、米国ではチップ製造の人材が不足し、人件費が非常に高いため、米国に工場を作ってチップを製造しても浪費と労力の無駄になるだけだろう。