厳冬が近づくなか、米国の大量のLNG(液化天然ガス)船が欧州に向かっている。天然ガス価格の急騰を受け、米国のエネルギー企業と貿易会社が大儲けしている。業界のデータによると、9月には87隻のタンカーがLNGを積載し米国の港を出発しており、その70%の目的地が欧州だった。
英コンサルティング会社ボルテックスのエネルギーアナリストであるフェリックス・ブース氏は、「クレイジーだ」「信じられないほどの利益だ」と述べた。計算によると、欧州の天然ガス価格がピークとなった8月に、LNGタンカー1隻だけで1回で1−2億ドル稼ぐことができた。
エネルギーの供給が不足し、あちこちでガスを探し省エネに取り組む。物価が過去最高を更新し、伸び率が2桁台になっている。景気後退に陥ろうとしている。対露制裁の反作用の顕在化に伴い、欧州諸国は米国に追随した深刻な結果を認めざるを得なくなった。
また米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げの影響を受け、ユーロの対ドルレートが20年ぶりの低い水準をつけ、ドル建ての大口商品価格を押し上げ、欧州に高額の請求書をもたらした。エネルギー危機により、欧州は企業と産業の移転という苦境に陥っている。米国は安いエネルギー価格と補助措置により、生産能力の主な受け入れ先になっている。
火事場泥棒をし、ひたすら利益を追求する。フランスのマクロン大統領はEU首脳会議後、国内で石油を安く売りながら欧州に対しては値段を釣り上げる米国の手法を公の場で批判し、米国が地政学的な争いから過度に利益をせしめていると述べた。ドイツのハベック副首相兼経済相(気候政策担当)は、米国がウクライナ危機を利用し荒稼ぎしているとほのめかした。ハンガリーのオルバーン首相はさらに、欧州の制裁は自殺行為だとはっきり述べた。「対露制裁の結果について米国と協議する時が来た」
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年11月14日