この研究を担当した地質・地球物理研究所の林楊挺研究員によると、ここでの水とは一般的な意義での水ではなく、鉱物中に存在する構造水のことだ。水の主要成分の一つが水素であるため、通常は水素含有量により水分含有量を表す。
分析結果によると、嫦娥5号の月の砂の最表層0.1ミクロン内の水分含有量は0.7%だった。研究者は水素と重水素の比率分析により、これらの水が太陽風により月面に高速で注入されたことを証明した。
論文の共同筆頭著者で、地質・地球物理研究所副研究員の田恒次氏は、「太陽から放出される水素イオンの平均速度は毎秒450キロにのぼる。これらは銃弾のように月の砂の表層に打ち込まれる」と述べた。
研究チームは再加熱実験・分析の結果に基づき、各温度の月の砂に含まれる水素の保存に関するデータシュミレーションを行った。その結果によると、太陽風由来の水分は月面の中・高緯度地域での保存状況が良好だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年12月14日