王学文氏はその後、資本論などの研究で、経済学者としても名をなすに至った。
もちろん、王学文氏の学術研究以外のことは公開の場で語られていないので、ゾルゲとの間でどういうことがあったのかは定かではないが、国外の資料によって大体のことは分かっているらしい。
楊さんの一文により、ゾルゲをめぐっての日本、アメリカ、中国の関係者の動きもはっきりしてきている。楊さんは新たな切り口から自分の研究をさらに深めているようだ。楊さんの一文が第二次世界大戦時のソ連、日本をめぐるインテリジェンス戦の動きをさらに詳しく知るために一石を投じたものと言えよう。旧ソ連は解体したがゾルゲは反ファシズムのヒーローとして今でも評価されており、当時ゾルゲと触れ合いのあった人たちもファシズムに反対する共同の理想を胸に動いていたのだろう。私は一ジャーナリストとして今だにいろいろな本を読みあさっているが、楊さんのゾルゲに関する本や落合信彦のモサドに関する本も、推理小説を読むより面白いと思って読んでいる。楊さんの研究がさらに深まることを願っている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年8月7日