事故発生から25年、人が立ち入らなくなったチェルノブイリの隔離区域は、いつのまにか野生動物の宝庫となった。
しかし、アメリカ南カルフォルニア州大学の生物科学者ティモシー・ムソー(Timothy Mousseau)氏は、「このような光景を見ると誤解してしまうかもしれないが、チェルノブイリ原発周辺地域は決して野生動物の宝庫などではない。同地域の動物の数と種類は予測より遥かに少ない」と述べた。
2010年、ムソー氏と同僚の研究者は汚染地域の野生動物に関する調査報告を発表した。その調査結果によると、哺乳動物の数は減少し、蜂、イナゴ、蝶、とんぼなど昆虫の多様性も低下していたという。ムソー氏が2011年2月に発表した研究報告によると、チェルノブイリ周辺地域で捕獲した鳥類550羽の大脳サイズを調査したところ、汚染地域に生息する鳥類の大脳サイズは、放射能レベルの低い地域の鳥類と比べ、5%ほど小さかったという。1歳未満の鳥類にとって5%という差は非常に大きい。
大脳サイズが縮まると認知能力が低下し、生存に影響が出る。ムソー氏の調査では、汚染地域に生息する多くの鳥類の胚胎が死亡していることが明らかとなった。ムソー氏は「これらの影響が放射能汚染と関連していることは明らかである。放射能はすべての生態系にネガティブな影響を与える」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年4月26日