前回のブログエントリーでは、トヨタについて書きましたが、これからもしばらくは、トヨタは世界の各市場からの批判を受け止めながら、そしてグローバル企業として前例の無い「迷走」に進んでことでしょう。そうした外的困難を抱えながらも、企業内部に「正しい混沌」がうまれれば、その「揺らぎ」から「革新 (innovation)」が生まれることを期待します。
さて、今回はM&A(企業の買収)について、簡単に書いてみたいと思います。一般的にM&Aは、吸収合併、対等合併といったポジションの上下に関わる漠然としたイメージでの話題から、シナジー効果、多様化のような経営学上の業績評価に関わる話題、そして三角合併のようなファイナンス上でのテクニカルな話題まで、いろいろな切り口で語られることがありますね。
中国と日本の関係で言えば、M&Aの大型案件(大企業同士)だけでなく、中小企業同士の案件は近年増加してきています。ここには、中国資本からの日本事業会社に対する出資もありますし、日本資本からの中国事業会社に対する出資もありますし、事業会社同士の対等的資本持ち合いのケースなどなど多様にあります。
こうした増加傾向は、1990年代以降、中国内での法制度の整備や中国の資本力が全般的についてきたことを起因としているわけですが、これまで、日中の文化差異によるM&Aのメリットデメリットが語られることが多かったかと思います。大企業のシステム化された管理手法における、事業提携ベースのM&A時の文化差異による影響は確かに大きいもので、とりわけ人的資源管理(Human Resource Management)においては、この文化差異がため管理手法の統一化が難しいものであります。それでは、現地化(Localization)に解決策を求めればいいかというと、そうでもなくて、グローバル企業としてバラバラな報酬体制などは、全社的不協和音を生み出してしまうでしょう。
これらは、経営学上では、「子会社の調整問題」(Autonomous vs. Receptive) のようなもの等々があるのですが、大企業同士ではなく、中小規模での事業ベースのM&Aについてもこうした理論が成り立つかどうかについては、確実な答えはありません。