ガニメデ経由にて (Via the Jupiter III)

タグ: 外来語 自らの言語のアイデンティティー

発信時間: 2010-03-24 16:10:38 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

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前々回はイノベーションというオトナ語についての話題でした。コメントなどをお寄せいただいたみなさんありがとうございました!

日本語のオトナ語、いろいろリストアップしてみましたが、なかなか面白いものがたくさんあるなぁという感じです。

オトナ語とは、ある言葉群に対するサブカルチャー的総称のようなものですから、正式定義のようなものは無いのですが、外来語からのものが多いですよね。ですから、オトナ語の中でもそもそも日本になかった言葉については、この新しく輸入された外来語としての言葉以外では代替がきかないわけですから、オトナ語でありながら、正当な、といいましょうか、正式な外来語なのだとおもいます。たとえば、これに属するのは、アイデンティティーやコーポレート・ガバナンスという言葉です。前者は、日本語として旧来なかった概念ですし、後者には企業統制という日本語などが当てられることが多いですが、「統制」というよりも、「ガバナンス」といったほうが広範な意味を含んでいるような気がします。そうですね、他にはアカウンタビリティー(説明責任)などは、組織やその役員などが外部や内部への役割上での説明というようなものですから、単なる「説明の責任」というよりも、さらに踏み込んだ具体的な意味合いを持っているはずです。ですから、このような言葉は「あるべきオトナ語」といいますか、正当な存在意義のあるオトナ語だと思います。また、外来語とオトナ語を区別するのは、オトナ語は、オトナとしては知っていなければならないよ、常識だよ、ということが暗黙の了解となっていて、日常会話というよりもとくにビジネス上の関係で一般常識として使われるようなものということができるでしょう。

その一方で、不思議なオトナ語があります。本来日本語で十文に言い換えられるにもかかわらず、敢えてオトナ語化してしまっている言葉たちです。

たとえば、サステーナブルな(持続可能な)、メソッド(方法)、テクニカルターム(専門用語)、フィージビリティー(実行可能性)などなどです。これらは、本来もともとあった日本語で十文に用途にたるものなのですが、オトナ語のもうひとつの側面であります「相手の常識レベルをチェックしたい」とか「専門的な外来語をつかえる自分ってかっこいい」とかそういった、効率性とは異なった、何か非常に人間的な関係性の上で、意図的につかわれているオトナ語ですよね。

つまり、外来語ではなくて、最初から日本語ベースで語りうる言葉を、英語などから輸入して、それを日本語にかぶせてしまった、という本末転倒といいますか、なんとも不思議な言葉たちなんです。

もちろん、僕もこうした言葉は、口語や書き言葉などでも使うことがあるのですが、確かにそうした言葉を使うと「変に専門的に」見える効果があるということはいえるとは思います(笑)。デコレーション的なものでしょうか。ですから、度が過ぎなければ、会話や文章という料理にスパイスとしてコショウをふりかける程度に言葉にまざっていてもよいような気もしますね。

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